「国葬文書隠蔽裁判」が佳境だ。
6月23日は午前10時半から第8回口頭弁論、8月21日は午前10時から官僚4人への証人尋問が行われる。いずれも東京地裁の103号、大法廷だ。
「国葬を閣議により実施できる」と判断した協議で、どんな議論があったのか。証人尋問は、協議に参加した内閣官房、内閣府、内閣法制局の官僚に直接聞くのが目的。情報公開をめぐる訴訟では、極めて異例の展開だ。
国葬文書の開示を求めた署名では、61,620筆が集まった。6月17日付で、高市早苗首相、林芳正総務大臣、岩尾信行内閣法制局長官の3人に署名を提出。その際、「Tokyo Investigative Newsroom Tansa・61,620人の有志一同」で、3人それぞれへの要望書も提出した。
高市首相、林総務大臣、岩尾長官は、国の超重要文書を情報公開法に反してまで隠蔽する事態にどう向き合うべきか。私は要望書を執筆する際、署名してくれた人たちの思いを想像し、各人にぶつけた。抜粋する。
高市首相宛
「森友文書」をはじめ近年、政府による文書隠蔽が横行しています。さらに、自身に不都合なことに関しては説明責任から逃避する高市首相の姿勢が相まって、昨今は政府への信頼が失墜しています。
高市首相は2026年2月20日、所信表明演説で「信以(もっ)て義を行い、義以て命(めい)を成す」と述べられました。誠実さと信用を基本とし、使命を果たしていくという思いを込めたと拝察します。有言実行を強く求めます。
林総務大臣宛
民主主義の基本は、記録を残し、それを基に社会を構成するすべての人が検証できるようにしておくことです。私たちは国葬の是非を問うているのではありません。世論を二分した安倍元首相の国葬について、社会全体で検証し、未来に活かす重要性を問うているのです。
情報公開制度は、その民主主義の基本を法的に支える極めて重要な手段です。情報公開法は第一条で「政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする」と掲げています。
情報公開法の遵守を、林総務相のもとで徹底してください。
岩尾内閣法制局長官宛
内閣法制局は1枚の応接録しか開示せず、そこには具体的な協議内容は記されていませんでした。国葬開催の是非は立憲国家の根本に関わる事項であり、記録が応接録1枚しか存在しないはずがありません。当時内閣法制局の次長だった岩尾長官もご承知のはずです。応接録には「岩尾次長に相談済み」と記載されています。
立憲国家の「法の番人」として、その時々の政府が暴走しないよう監視することが内閣法制局の使命です。政府の追認機関ではありません。
「国葬文書」を開示し、本来の使命に還るための起点とすることを強く要請します。
Tansaだけが原告か
国葬文書隠蔽裁判を通じて、気づいたことがある。
それは、今回の裁判は機能不全に陥っている政府とマスコミから、社会での主導権を市民が取り戻す闘いだということだ。
国側はこれまでの口頭弁論でしどろもどろ、困った時は「記憶にない」で逃げる。
マスコミ各社の司法記者は、裁判所の2階に記者クラブがあって常駐しているにも関わらず、1階の大法廷で開かれる国葬文書隠蔽裁判の取材に降りて来ない。Tansaが裁判に勝ったら報じ、負けたら無視する腹づもりなのだろう。
だがそれでも一向に構わない。大法廷は毎回、ほぼ満杯になる。しかも年代や性別、職業など多様な人が傍聴に来る。何かと分断が多い時代にあって、こんなに嬉しいことはない。口頭弁論の後には、傍聴者を対象に報告会を開いているのだが、質問が巷の記者よりも鋭い。真剣さを感じる。
私たちの代理人弁護士5人の奮闘も心強い。全員、自由人権協会(JCLU)のメンバーだ。JCLUは、基本的人権の擁護を唯一の目的とする公益社団法人。金や名誉ではなく、純粋に公益のために闘っている。
Tansaだけが原告なのではない。自分たちが社会の主人公だと考える全ての人が、国葬文書隠蔽裁判の原告なのだ。
必ず、国に勝つぞ!

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