いつも応援ありがとうございます。
まず、ご報告と御礼です。来年度より、新しい専業メンバーを2人迎え入れることになりました。これは1年前の12月と比べて、月平均2500円のマンスリーサポーターが300人増えた成果です。昨年の今頃は445人でしたが、もうすぐ750人です。
ひとりは全国紙で4年間勤めたTanasの元学生インターン、もうひとりは来年3月に卒業する現インターンです。Tansaで探査報道のマインドと技術をしっかり学びました。
これまでは採用したくても資金が不足していて、泣く泣く新聞社やテレビ局に送り出してきました。実際、お別れ会で号泣するインターンたちもいました。こうして2人を採用できること、サポーターのみなさまに心より御礼申し上げます。
2024年の成果
Tansaに転職することを決意した理由として、元インターンが挙げたのが「Tansaには希望がある」でした。
とても嬉しい言葉です。「怒る」だけではなく、「きっと変わる、変えられる」という希望こそが、活動を続けられる支えになっている。そのことを、新しい仲間が理解してくれているからです。
2024年も、希望を持って探査報道に打ち込むことができました。
中川七海の「公害 PFOA」は、シリーズを始めて4年に入りました。スクープを放ち続ける中で、当初は「ダイキン工業」の名前すら伏せていたマスメディアも、徐々にPFOAの危険性を報じるようになりました。石破茂首相は今月3日の参院本会議で、水道に関するPFOAとPFOSの管理強化策を打ち出すと約束しました。まだ不十分な内容ですが、前進です。
中川は旬報社から「公害 PFOA」を出版しました。記者5年目、初の著書です。様々な媒体で書評が載り、好評です。ぜひご一読ください。
デジタル性暴力を追う辻麻梨子の「誰が私を拡散したのか」は、シリーズを始めて3年目。今年はNHKスペシャル「調査報道新世紀」で、NHKとのコラボを実現しました。これまでTansaは外国メディアとのコラボは盛んに行ってきましたが、国内メディアとの本格的なコラボは始めてです。Tansaの取材力とNHKの影響力を互いに生かすことができました。
当初NHKは、「Tansaの取材成果をNHKが使っても、NHKの映像はTansaに使わせない」という不公平な条件を示してきました。しかし、スクープ部分の深い情報を持っているのはTansaです。交渉の末にNHKと覚書を交わし完全に対等な条件にしました。Tansa以外の独立メディアも、強みがあれば大手メディアと協力できる道を開きたかったからです。
メンバーがフル稼働した「自民支えた企業の半世紀」では、自民党への企業・団体献金を46年分収集してシリーズを続けています。いかに企業・団体献金が政策を歪めてきたかを様々な角度から今後も報じ、企業団体献金が禁止となるよう粘ります。
「国葬文書隠蔽」では、報道機関が政府を提訴するという異例の挑戦に踏み切りました。情報公開制度というジャーナリズム活動のインフラに関わることだからです。マスメディアの動きは鈍いですが、市民の応援には勢いがあり、12月18日に始めたchange.orgでの署名「#ないわけないだろ国葬文書/情報公開制度を取り戻したい!」は、すでに1万7742人分が集まっています。
事態を変える影響力を持つために
その他にも「保身の代償〜長崎高2いじめ自殺と大人たち〜」や「消えた核科学者」など、なんとか事態を変えたいと取材を継続しています。
新たに取材に着手しているテーマもいくつかあります。
来春に2人が加わって専従メンバーが5人になったとしても、いっぱいいっぱいの状況です。取材に着手するべき切実な依頼や情報があっても、多くは断念しています。
Tansaの専業メンバーをもっと採用し、良質な探査報道を1本でも多く放つ。社会でのTansaの影響力を増大させて事態を一つ一つ変えていく。これが私たちの願いです。マスメディアの崩壊ぶりやSNSでのフェイクニュースの勢い、政治の機能不全を目の当たりにしている今、悠長に構えてはいられません。
そのためには、給料を安定的に払う資金が必要です。Tansaは必ず現場に足を運ぶことをモットーとしていますが、最近は国内の宿泊費が高騰するなど取材費もかさんでいます。
新たにマンスリーサポーターになっていただけると、こんなに嬉しいことはありません。すでにサポーターの方も、可能であれば増額していただけると大変ありがたいです。
ともに事態を変える仲間に加わっていただけることを、切に願っております。
2024年12月23日
Tansa一同
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