9月30日、Tansaは国葬文書の「不存在」決定取り消しを求めて、国を提訴した。同日、東京地裁の司法記者クラブと航空会館にて、代理人である公益社団法人・自由人権協会の弁護団と記者会見を開いた。
安倍晋三・元首相の国葬実施を閣議決定で決めた背景には、どのような協議があったのか。Tansaは2022年7月から、その協議の記録を開示するよう国に求めてきたが、記録の未作成や廃棄を理由に不開示決定が出ていた。
開示決定後に実施した不服審査請求でも、不開示決定が覆されることはなかった。
今回の裁判についてイチからわかる解説記事はこちら。記者会見の様子はYouTubeにてご覧いただけます。
原告と代理人弁護士は・・・
記者会見には新聞社やテレビ局のほか、フリーランスの記者など2会場でおよそ15人が参加した。
Tansa編集長の渡辺周は会見で、次の点を強調した。
「今回の判断は、あまりにも情報公開制度をないがしろにしている」
「本来情報公開の制度は、誰もが利用できるものであり、民主主義を維持するための宝だ。今回の訴訟を通して、運用を改善し、誰でも使える制度にしていきたい」
Tansaの記者である辻麻梨子、中川七海も登壇した。
辻麻梨子
「普段の取材でも情報公開請求をするが、国民から集めたパブリックコメントなどの文書ですら、出てこないことがある。一つ一つを仕方がないと許していたら、あらゆる政策決定がブラックボックスの中に入ったままになってしまう」
中川七海
「取材先で出会う市民からも、情報公開請求をしても文書が出てこない、黒塗りになる、そもそもきちんと文書を探してくれないという声を聞く。市民が不服審査請求や裁判をするのは難しい。政府や行政が、市民に権利の行使を諦めさせていると感じる」
今回の裁判の弁護団は、自由人権協会の代表理事である喜田村洋一氏と同協会に所属する二関辰郎氏、高橋涼子氏、小野高広氏、西村友希氏の5人だ。
それぞれが本裁判への思いを語った。
喜田村洋一氏
「国葬の実施を閣議決定で決めたということは、国民の声を聞かず、国権の最高機関である国会の議論も経なかったということ。記録を残し、検証するという歴史に対する責任が果たされていない」
二関辰郎氏
「メディアにとって、権力は情報をもたらしてくれるが、批判すれば情報がもらいにくくなるという関係性もある。政府が公文書管理法に基づいて文書を作り、情報公開法のもとに公開すれば、仮に批判をしてもその後も情報が取れる。国民の知る権利にとっても重要なことである」
高橋涼子氏
「なぜこんな文書が出てこないのかと、素朴な疑問を感じる。違法な点を今回の訴訟で是正できるよう、力を尽くしたい」
小野高広氏
「今回の件は、国葬という事案の重要性から考えても文書が作られているはず。文書が存在しないということは考えられず、開示されるべきだ」
西村友希氏
「一人の人の死を悼む気持ちは誰もが持つものだが、死の悼み方を国が率先して、国葬という形で営むかは別問題。国葬とする以上、その決定過程は検証可能な形で残すべきである」
今後の裁判日程などの詳細は、TansaのWebサイトやメルマガにてお知らせします。
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