安倍晋三元首相の国葬を、国会も通さずに閣議決定で実施してもいいのかーー。
そのことを相談するため、当時の岸田文雄首相は「法の番人」と言われる内閣法制局に、官邸から担当者を派遣した。協議は2022年7月12日、13日、14日の3日間にわたり行われた。
ところが、この3日間でどのような協議をしたのかを官邸側は隠蔽している。「記録を取っていない」、あるいは「捨てた」と主張する。
ならば協議に出席した担当者に取材しよう。そう考えて、Tansaが出席者の名前と役職を情報公開請求したところ、不開示となった。
不開示理由は文書不存在。今回も「記録を取っていない」、あるいは「捨てた」と主張している。世論を二分した国葬をなぜ実施したのか、政府はブラックボックスに葬る構えだ。
Tansaは、官邸側の担当部署の名簿を入手した。協議した当時の名簿だ。その中に協議に出席した官僚がいるはずだ。
「内閣法制局に相談した実績はある」が・・・
内閣法制局の「応接録」によると、国葬についての相談を受けた官邸側の部署は、内閣官房内閣総務官室。内閣府の大臣官房総務課も出席した。
Tansaは内閣官房と内閣府に対して、以下の文言で情報公開請求をかけた。
【内閣官房】
2022年7月12日〜14日に内閣法制局に国葬議を閣議決定することについて相談した内閣官房内閣総務官室の担当者の氏名と役職がわかる文書
【内閣府】
2022年7月12日〜14日に内閣法制局に国葬議を閣議決定することについて相談した内閣府大臣官房総務課の担当者の氏名と役職がわかる文書
これに対して、内閣官房内閣総務官と内閣府大臣官房長名で、同じ回答が返ってきた。
内閣法制局に国葬議を閣議決定することについて相談した実績はあるが、請求に係る行政文書は作成若しくは取得しておらず、又は廃棄しており、保有していない
この中に出席した担当者がいる!
Tansaは、協議が行われた2022年7月当時の内閣官房内閣総務官室と内閣府大臣官房総務課の職員名簿を入手した。この中に協議の参加者がいるはずだ。今後、取材と国葬文書隠蔽裁判を通じて特定していく。
【内閣官房内閣総務官室】
内閣総務官 松田浩樹
内閣審議官 溝口洋、黒田秀郎、佐藤正一
内閣参事官 戸梶晃輔、西澤能之、山田章平、坂口常明、吉田勝夫、山本元一、熊谷勝美、千葉均、由布和嘉子、中嶋護、川本登、三木忠一、八木貴弘、梶元伸、吉野議章、竹内尚也、上杉和貴、児玉泰明、田中宏和、浅賀崇
企画官 小林伸行、御厩敷寛、錦織誠、大久保敦、高野仁、高橋敏明、鈴木智之、萩原玲子、石川廉郷、門寛子、二瓶朋史
調査官 西牧則和
【内閣府大臣官房総務課】
課長 中嶋護
参事官 冨岡勇哉、伊藤誠一、千葉均、久保大輔、上杉和貴、菱山大、田中駒子、児玉泰明、富永健嗣
企画官 岡野武司、石川廉郷、堀江典宏
総務担当課長補佐 岡田丈秀
総務係長 髙木智章
文書係長 平田有
調整第一担当課長補佐 新垣和紀
調整第一係長 柴田耕羊
調整第二担当課長補佐 坂田俊
調整第二係長 北川晃平
調整第三係長 田中恵美理
調整第四担当課長補佐 髙橋達也
調整第四係長 松山龍典
調整第五担当課長補佐 前田敏之
調整第五係長 石原裕也
調整第六担当課長補佐 秋山祐太
調整第六係長 今村大悟
審査担当課長補佐 田原太郎
審査第一係長 鈴木偲歩
審査第二係長 田中裕太郎
情報公開係長 石橋慶久
調査担当課長補佐 大島恵子
企画担当課長補佐 小池智歌
企画係長 北裕樹
専門職 鈴木宗光
署名と取材費支援のお願い
Tansaは今回の裁判を通じ、情報公開法の機能不全を問います。同時に、市民に知らせないままになんでも決めてしまう政治に怒りを表明するため、オンライン署名サイトchange.orgにてキャンペーンを実施しています。
これまでに2万筆以上の署名が集まりました。
署名は石破茂首相、岩尾信行内閣法制局長官、村上誠一郎総務大臣に提出する予定です。市民の声を届けるため、ぜひ署名にご協力ください。
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