
内閣法制局との国葬についての協議に出席した官邸側の官僚4人について、東京地裁に提出された報告書の一部。「記憶にありません」が多く見られる=友永翔大撮影
5月12日午後3時から、東京地裁103号法廷で「国葬文書隠蔽裁判」の7回目の口頭弁論が開かれます。
見どころは、4人の官僚及びTansa編集長・渡辺周の証人尋問を、東京地裁の篠田賢治裁判長が決めるかどうかです。
4人の官僚は、官邸側と内閣法制局の2022年7月12日から14日にかけての協議に参加していました。この協議を受けて、当時の岸田文雄首相は、閣議決定により安倍晋三元首相の国葬を実施すると発表しました。
3日間の協議でどんなやりとりがあったか。被告の国は「記録を取っていない」、「捨てた」と主張しています。このため原告のTansaは、4人に直接聞こうと証人尋問を申請しました。
渡辺の証人尋問は、国が「不存在」を主張している文書が存在することを、取材に基づき明らかにすることが目的です。
一方の国は、「証人尋問の必要はない」と抵抗しています。
篠田裁判長はどのような判断をするのでしょうか。
日程調整をした後に
Tansaが証人尋問を申請した官僚は、以下の4氏です。
西澤能之
内閣官房内閣総務官室内閣参事官(当時)、現・総務省行政管理局企画調整課長
御厩敷(おんまやしき)寛
内閣官房内閣総務官室企画官(当時)、現・水産庁漁政部漁業保険管理官
中嶋護
内閣府大臣官房総務課長(当時)、現・内閣府大臣官房審議官(沖縄政策及び沖縄科学技術大学院大学担当)
乗越徹哉
内閣法制局参事官(当時)、現・厚生労働省政策企画調整官
4人の官僚と、Tansa編集長の渡辺の証人尋問について、前回3月19日の口頭弁論で篠田裁判長は、実施する場合の日程調整をしました。候補日として、8月21日、24日、9月10日が挙がりました。
さらに4月8日、原告側に東京地裁の担当書記官から連絡がありました。
「被告側に問い合わせたところ、いずれの日程も対応可能ということなので、尋問候補日から9月10日は除くこととし、次回期日において、尋問期日を8月21日か8月24日のどちらかに決める予定です」
ここまで来たら証人尋問は実現する――。Tansaがそう思っていたところ、4月17日、国が「証拠申出に対する意見書」を提出してきました。証人尋問に反対する意見書です。
国が証人尋問に反対する理由
国が各人の証人尋問に反対する理由は、次のようなものです。カッコ内の所属は当時。
・西澤能之(内閣官房)、御厩敷寛(内閣官房)、中嶋護(内閣府)の3氏について
「この裁判で、すでに書面で報告書を提出しているので改めて尋問する必要はない」
・乗越徹哉氏(内閣法制局)について
「3日間に内閣法制局とやりとりした内容について、内閣官房と内閣府に記録文書が存在するかどうかが裁判の争点。内閣法制局の乗越氏に対して、内閣官房と内閣府の文書について尋問しても分かることはない」
・渡辺周について
「文書が存在するかどうかは、Tansaが情報開示請求の際に記した請求文言に照らして客観的に決まる。渡辺が尋問で述べる内容で決まるわけではない」
Tansa弁護団の反論
国の意見書に対して、原告Tansaの弁護団が反論書を作成し、5月7日に提出しました。弁護団は自由人権協会(JCLU)に所属する喜田村洋一、二関辰郎、高橋涼子、小野高広、西村友希の各氏です。
反論書では、西澤能之(内閣官房)、御厩敷寛(内閣官房)、中嶋護(内閣府)の3氏について、以前に裁判で提出された報告書の杜撰さを突きました。
報告書は、篠田裁判長の求めにより提出されたものです。篠田裁判長には、3日間の協議内容を具体的に把握する目的がありました。報告書の作成にあたっては、お互いにすり合わせをせず、各人の記憶に基づいた内容をそのまま記載するよう指示がありました。
ところが西澤、御厩敷、中嶋の3氏の報告書は、すり合わせが行われたことを疑わせる形跡がありました。構成や表現が画一的で、固有名詞さえ差し替えれば、どれも交換可能なものだったのです。
さらに3氏の報告書は、「記憶がない」を多用していました。直接尋問して、記憶を喚起することが必要です。
内閣法制局の参事官だった乗越氏についても、証人尋問は必須です。
反論書で原告弁護団は、乗越氏が西澤氏ら3氏との協議に参加した当事者である点を強調しました。どんなやりとりがあったかを乗越氏に尋問することは、内閣官房と内閣府が保有している記録文書の特定に役立つからです。
渡辺の証人尋問についても、弁護団の反論書では必要だと主張しています。
国は「記録を取っていない」「捨てた」という理由で文書の不存在を主張していますが、Tansaは「ないはずがない」と確信しています。その根拠を渡辺は取材に基づき、証人尋問で述べようと考えています。
証人尋問を念頭においた渡辺の意見書は、4月24日に東京地裁に提出しました。以下からご一読ください。
「知る権利を市民が取り戻す契機に」/「国葬文書隠蔽裁判」の原告代表・Tansa編集長の意見書全文を公開
来廷はお早めに
明日5月12日の第7回口頭弁論は、午後3時から大法廷の東京地裁103号で開かれます。前回も103号法廷でしたが、傍聴希望者が多く入りきりませんでした。お早めにお越しください。
裁判の終了後には、別会場で報告会を開きます。Tansaと弁護団がこの日の口頭弁論のポイントを分かりやすく説明します。
記録のない国一覧へ<国葬文書隠蔽裁判 期日報告会>
日時:5月12日(火)午後4時~5時30分(予定)
会場:アクセア半蔵門貸会議室 第一会議室
(東京都千代田区隼町2-13 US半蔵門ビル 5F、東京メトロ半蔵門駅1番出口より徒歩約1分)
★ビル入り口に係の者が立っております。
申込:不要
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