
安倍晋三元首相の国葬=首相官邸ホームページから
Tansaが国を提訴した「国葬文書隠蔽裁判」の初回の証人尋問が8月21日、東京地裁の大法廷で行われた。
今日の証人は以下の3人。午前中から夕方まで、傍聴席はほぼ満員だった。
御厩敷寛
内閣官房内閣総務官室企画官(当時)、現・水産庁漁政部漁業保険管理官
西澤能之
内閣官房内閣総務官室内閣参事官(当時)、現・総務省行政管理局企画調整課長
中嶋護
内閣府大臣官房総務課長(当時)、現・内閣府大臣官房審議官(沖縄政策及び沖縄科学技術大学院大学担当
焦点は、内閣官房・内閣府と内閣法制局による7月12日から3日間の協議で、何が話し合われたか。この協議を受けて、当時の岸田文雄首相は、安倍晋三元首相の国葬を閣議決定により実施すると決めた。
だが3人とも「メモはとっていない」と強弁。裁判長を含む3人の裁判官が、証人たちを問いただす異例の展開となった。
把握していた過去の法制局見解
3人の官僚は、3者協議が重要だという認識は示した。
内閣府の総務課長であった中嶋護氏は「本件は最も重要な案件です」と証言した。協議結果については、大臣官房長と事務次官に報告しており、「総理大臣まで諮るべきというのが当然の認識だった」と述べた。
内閣官房内閣総務官室の参事官・西澤能之氏は、総理大臣秘書官に報告。
その部下で企画官の御厩敷寛氏も、閣議決定での国葬実施は議論を呼ぶと理解していた。7月12日の協議開始の時点で、過去に内閣法制局長官・吉国一郎氏が佐藤栄作元首相の国葬実施をめぐり、閣議決定での実施は「法的根拠が明確でない」との見解を示していたことを把握していたからだ。
「メモとは、どういう?」
3人とも3者協議の重要性を認識していたにもかかわらず、Tansaが開示請求した協議に関する3日間のやり取りは記録を取っていないという。
例えば7月12日。
内閣法制局との協議は、内閣府から中嶋氏と部下の田原太郎氏(内閣府大臣官房総務課 課長補佐)、内閣官房から西澤氏と御厩敷氏の計4人が内閣法制局に赴き、対面でやり取りをした。
総理大臣経験者の葬儀に関する過去の事例など、事前に下調べした内容をまとめた文書を持参した。内閣府・内閣官房から説明を行い、内閣法制局が質問を重ねた。約1時間の協議だったという。
ところが、相談に赴いた内閣府・内閣官房側は、協議の記録を取っていなかった。
中嶋氏(内閣府)
「(内閣法制局からの質問事項について)記録した記憶はありません」
「案段階文書に下線を引いたりチェックはしたかもしれませんが、やり取りを役所に持ち帰って、報告するためのメモを取った記憶はありません」
西澤氏(内閣官房)
「法制局とのやり取りのメモは取っていません。私以外の方がメモを取っていたかはわかりません」
「私も御厩敷企画官も、録音はしていません」
「法制局とのやり取りについて、メモに残すべきやりとりはなかったと判断しました」
内閣官房の御厩敷氏がメモについて述べた時は、傍聴席から一斉に笑いが起きた。原告代理人の喜田村洋一弁護士が質問し、そこへ篠田賢治裁判長が重ねて質問をした時のことだ。
喜田村弁護士
「役所の方が同席すると、一部の方がノートテイキングをする例が多いですが、どなたがノートテイキングをしていたのですか」
御厩敷氏(内閣官房)
「ノートテイキングの定義がよくわかりませんが、この件でやり取りを記録したメモは作成していません」
篠田裁判長
「すみません、4人で法制局に行ったけれど、その場でメモを取った人は誰もいないということですか」
「あなたはメモ取りをしましたか」
御厩敷氏(内閣官房)
「メモっていうのは、すみません、どういう…?」
裁判官「国会対応があるのに資料を残す発想はないのか」
篠田裁判長だけではなく、他の2人の裁判官も記録がないことに疑問を投げかけた。
下山雄司裁判官は、国葬を閣議決定を根拠に実施することについて、内閣法制局に持ち込んだ案段階の文書を廃棄した経緯を中嶋氏に尋ねた。
下山裁判官
「(中嶋氏が裁判所に提出した)報告書では、一般的に保存の必要がなくなれば速やかにシュレッダーにかけたとありますが、業務が終わってからどれくらいの期間を空けるのですか」
中嶋氏(内閣府)
「案段階の文書についてどうしたかという記憶は定かではないが、紙の文書は日々大量に集まります。用が済んだものは、段ボールに入れて、2〜3日おきにシュレッダーにかけています」
武内譲司裁判官は、3日間の協議を経て「国の儀式として行う総理大臣経験者の国葬儀を閣議決定で行うことについて」という題の確定文書を作成する際、参照した資料を残していないかを西澤氏に尋ねた。
武内裁判官
「国会対応が後にある中で、そういった収集した資料を残しておこうという発想はなかったのですか」
西澤氏(内閣官房)
「必要なものは内閣府に移管したと思います」
しかし、内閣府もTansaの開示請求に対し、文書は「不存在」との決定を出している。
<お知らせ>証人尋問2日目は、8月24日に
証人尋問の2日目は東京地裁第103号法廷で、以下の日時にあります。
午後1時30分~2時40分ごろ
乗越徹哉
内閣法制局参事官(当時)、現・内閣官房内閣参事官
国が20分、Tansaが40分の予定
24日の証人尋問終了後には、報告イベントを開く予定です。
日時:8月24日(月)午後4時30分~6時
会場:TIME SHARING 銀座三丁目ビルディング5F
〒104-0061 東京都中央区銀座3丁目8-13 銀座三丁目ビルディング5階
東京メトロ丸の内線「銀座」駅A13番出口より徒歩3分
定員:90名
参加費:無料
Tansaと弁護団が、2日間にわたる証人尋問の内容や、尋問を終えての感想、今後の展望などをお話しし、みなさんからの質問にもお答えします。
報告イベントのみのご参加も可能ですので、ぜひお誘いあわせの上、足をお運びください。
また本イベントはYouTubeでのオンライン配信を予定しています。Tansaの公式YouTubeチャンネルより、ぜひご参加ください。リアルタイムでご参加できない方も、アーカイブからご覧いただけます。
記録のない国一覧へ配信:Tansa公式YouTubeチャンネル
その他:アーカイブ化あり、申込不要、参加無料
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