大阪・摂津市で全国一のPFOA高濃度汚染が広がっている問題について、摂津市民からなる「PFOA汚染問題を考える会」が2023年3月8日、環境省に対して2万3788人分の署名を提出した。考える会は大阪府の吉村洋文知事宛にも同じ署名を2月24日に提出しており、府は汚染源であるダイキン工業に対策を求めることを明言している。だが環境省はTansaの取材に対し、「ダイキンに対して対策を求める立場にない」と断言。大阪府との足並みは揃わなかった。
この日は考える会事務局長の谷口武氏らが、午前10時半に東京・永田町にある衆議院第一議員会館を訪れた。環境省への署名提出は、会館地下一階の会議室で行われた。署名を受け取った環境省の職員は、次のとおりだ。
百瀬嘉則 水環境課・課長補佐
甲斐文祥 水環境課土壌環境室・室長補佐
齋藤あき 環境安全課環境リスク評価室・健康影響評価専門官/主査
谷口事務局長は3人に対し、大阪・摂津でのPFOA汚染について審議された2022年4月の参議院環境委員会での山口壯・環境大臣(当時)の答弁を批判した。
「環境大臣は『大阪府と摂津市の仕事であり、大阪府にしっかりやっていただきたい。我々はきっちり助言します』という回答で、国も責任をたらい回しにしている状況です」
ところが、署名を受け取った百瀬課長補佐は「改めまして、みなさまの不安の声を我々としても認識したところでございます」とは言ったものの、今年1月に立ち上げた専門家会議で科学的議論をするという回答に留めた。
では、環境省はダイキンに対して何をするのか。署名提出が終わり会場から退出した百瀬課長補佐に私が質問したところ、きっぱり言った。
「ダイキンに対して対策を求める立場にない」
3月24日、考える会はダイキン工業に署名を提出する。
(左から)PFOA汚染問題を考える会の谷口武事務局長、環境省の甲斐文祥水環境課土壌環境室・室長補佐、百瀬嘉則水環境課・課長補佐、齋藤あき環境安全課環境リスク評価室・健康影響評価専門官/主査
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