
長射程ミサイル配備に反対する手書きのプラカード=熊本市東区・健軍で2026年3月9日
熊本を訪れた際、衣料品販売店に立ち寄った。買った服を包んでもらっている間、2月の衆院選の話になった。初対面の店員と客という立場で、言葉を選びながら、互いの考えを探っていく。「高市政権になって、戦争に進んでいくのが怖い」。そう聞いて、同じことを考えているのだと分かってほっとする。
「熊本にミサイルが配備されるんですよ、健軍の自衛隊駐屯地に」と店員が教えてくれた。
健軍は、熊本市内から約5kmの位置にあり、路面電車で30分ほどだ。駐屯地の周りは住宅地で、学校や病院もある。
健軍駐屯地に配備されるのは、九州から中国沿岸部まで届く長射程ミサイルだ。2022年、岸田政権は安保3文書改定を閣議決定し、敵基地攻撃能力を明記した。高市政権は敵基地攻撃能力を持つ武器の配備を進めている。「防衛」ではなく「攻撃」の能力を持つミサイルが日本で初めて配備されるのが、健軍だ。
2026年3月8日深夜、健軍駐屯地に長射程ミサイルの発射装置が搬入された。防衛省は、県知事にも市長にも事前に知らせなかった。住民たちは報道でミサイル発射装置の搬入日を知り、プラカードやペンライトを持って、深夜に駐屯地前に集まった。ミサイル発射装置は、住民が集まった正門ではなく、裏口から搬入された。
長射程ミサイルの配備が決定したのは2025年の8月末。高市早苗首相も、地方紙グループのインタビューに「住民説明会は絶対大事」と回答していた。
しかし、これまで防衛省は一度も住民説明会を行なっていない。現時点では、今後も予定はない。小泉進次郎防衛大臣は、九州防衛局の問い合わせ窓口とウェブサイト「Q&A」の設置で「情報発信に努めている」と述べて済ませている。
防衛省は健軍駐屯地の地下化事業を進めている。駐屯地が攻撃されても地下に司令部を移して作戦を続行するためだ。「健軍駐屯地が標的になる」という想定をするのなら、同じ想定のもとで不安になっている住民にも説明するべきだ。
まちはそこで生活する住民たちのものだ。熊本に暮らす友人、知人の顔が思い浮かぶ。ミサイル配備について話してくれた店員は、「好きな服を着て、ふつうに生活したい。ミサイルのすぐ隣で暮らすのは不安だ」と言う。店で買ったセーターに袖を通すたび、あの人がふつうに暮らせる社会を守りたい、と思う。戦争をさせないためには、高市政権を止めなくてはならない。
飛び込め! ファーストペンギンズ一覧へ
メルマガ登録