人質司法 なぜ労組は狙われたのか

警察庁刑事局長「真摯に受け止める必要がある」 関西生コン事件の冤罪について国会答弁

2025年04月21日 17時57分  渡辺周、中川七海

FacebookTwitterEmailHatenaLineBluesky

生コン産業の労働組合「関生支部」への無罪判決が相次ぐ中、警察庁の谷滋行刑事局長が4月21日、冤罪を引き起こしたことについて「真摯に受け止める必要がある」と表明した。

参議院決算委員会で、大椿ゆうこ議員(立憲民主・社民・無所属)の質問に対して答弁した。

滋賀、京都、大阪、和歌山の警察が、延べ80人超の組合員を逮捕・勾留した一連の事件では、すでに3事件11人の無罪が確定。継続中の裁判でも、検察が懲役10年を湯川裕司委員長らに求刑した事件で、京都地裁が無罪判決を出した。

袴田巌さんや大川原化工機の経営者ら「人質司法」の犠牲者が絶えない。警察は次第に追い込まれている。

「警察は被害者の声を聞け」

関生支部の組合員が逮捕された事件では、3事件で無罪が確定している。警察庁は「係争中」を理由に逃げられない。そこを大椿議員は突いた。

例えば「和歌山広域協事件」。

この事件では、生コン経営者の協同組合である「和歌山県広域生コンクリート協同組合」の運営者が、元暴力団員らを関生支部の事務所に差し向けたことが発端。関生支部の組合員たちが謝罪を求めたところ、逆に強要未遂と威力業務妨害の容疑で逮捕された。元暴力団員を使った経営者側からの被害届を、警察が受理するという常軌を逸した捜査だった。

大椿議員は、無罪が現時点でも3事件で確定していることを挙げ「一連の刑事訴追が、完全に誤っていたということで深刻な事態」と追及した。

これに対して警察庁の谷刑事局長は以下のように答弁した。

「その点については、警察としても真摯に受け止める必要があると考えております」

谷刑事局長によると、無罪事件を教訓とするため、現職の警察官が学ぶ警察大学校や、管区の警察学校で研修を実施。再審無罪を担った弁護士、刑事裁判に携わる裁判官、大学教授らを講師に招いている。だが被害者本人は講師として呼んでいない。大椿議員は被害者本人の話を、警察官たちに直接聞かせるよう求めた。

厚労省審議官、国家公安委員長「産別労組も憲法28条の対象」

大椿議員は、大阪高裁での和歌山広域協事件の判決文を引用した。判決では「産業別労働組合である関生支部は、憲法28条の団結権等の保障を受ける」、「元暴力団を差し向けた行為が関生支部の団結権を大きく脅かすことは明らか」と断じている。

それを踏まえ、大椿議員は労働行政を担う厚労省と、警察を所管する国家公安委員会に質問した。

「日本の労働組合は欧米と違い、企業内組合という組織形態が大半だが、企業横断的に組織されている産別労組は存在する。その会社に組合員が雇用されているか否かにかかわらず、業界の企業や業者団体と交渉して、産業全体の労働条件の引き上げを目的としている。産別労組であっても憲法28条の労働組合保護は及びますよね」と質問した。

厚労省の尾田進・大臣官房審議官、国家公安委員会の坂井学委員長(自民)のいずれも「保障は及ぶ」と答弁した。

Tansaは報道機関としての独立性を担保するため、行政や企業からの広告費は一切受け取っていません。活動を支えるのは、市民のみなさまからの寄付です。

 

シリーズ「人質司法 なぜ労組は狙われたのか」では、取材にかかる費用を募っています。ご支援をお願いいたします。

 

詳細・寄付はこちら

FacebookTwitterEmailHatenaLineBluesky
人質司法 なぜ労組は狙われたのか一覧へ