強制不妊

福島瑞穂・議連事務局長インタビュー 「被害の発生源は国会」「救済期間の延長は大いにありうる」

2021年10月30日16時10分 辻麻梨子

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かつて「強制断種」を盛り込んだ旧優生保護法案は、与野党の議員立法で成立した。今の国会議員たちは、その責任をとるべく強制不妊の被害者救済法を作った。

だが、補償金の支払い認定は今のところ3.8%にとどまっている。この事態をどう打開するのか。「優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟」の事務局長であり、救済法の成立を牽引した福島瑞穂氏にインタビューした。

議員連盟総会で発言する福島瑞穂議員(2018年7月18日の福島議員Twitter投稿より)

法律知られていない

―被害者救済のために何ができるか。

厚労省がやっている周知徹底を議員連盟の方でももう少し拡散する必要があると思う。連携不足だったと感じており、厚労省自身がTwitterを出しているというのも教えてもらえたらリツイートするなり、協力する方法があった。こちらもあらゆる機会にこういう法律ができたということを広報していきたい。厚労省だけではまだまだ弱いと思った。

―被害を認定されたのはわずか3.8%程度。その後の認定件数も毎月3件、4件ほどと低迷している。根本的な原因があるのではないか。

非常に昔の話のため、当事者の中には自分がどういう手術を受けたのかということをわかっていない方もいると思う。今もうご存命でない方もいるかもしれないし、施設に入っている方もいるかもしれない。そしてこういう法律ができたことそのものが知られていないので、被害者に繋がっていないと思う。肝炎などに比べると、広報が非常に少ないということもある。テレビやラジオで政府CMを流しているわけでもない。

―議連の個別通知はしないという方針は、どのように決まったのか。

与党プロジェクトチームと議員連盟が、それぞれの意見を何度も突き合わせして法律を作ったが、両方から出た意見だった。

プライバシーの暴露にならないか 

―どのようなケースでプライバシーの侵害が起きると想定していたのか。

一つは同意なく被害者の調査をしていいのかという問題。行政に残っているデータが古いため、現住所などを調べるには住民票などを辿って行かなくてはならない。また当時の住所に手紙などを送り、他人が開けてしまう可能性もある。

また現住所が変わらなかったとしても、結婚や出産で本人の生活が変わっている場合がある。例えば本人が夫に手術のことを言っていない場合などに、家族の中でトラブルが生じる可能性がある。

当人が隠していることを権力が暴露してはならない、という議論をした。LGBTなどのセクシュアリティを他人が勝手に暴露する「アウティング」という問題があるが、同じように人権侵害につながる恐れがある。アウティングにならない通知の方法があるのか、というのは一つの検討事項だ。

―強制不妊は障害がある人たちを狙った加害であり、そのことを通知するのはLGBTのアウティングとは違うのではないか。

障害があるような、とても立場の弱い人たちが狙い撃ちになった。それは、本当にその通りだ。だからできれば口コミのようにでも広めてもらうために、障害者団体やハンセン病のN P Oなどのコミュニティにも協力してもらっている。

過去に国の予防接種による肝炎の被害者救済などもやってきたが、本人に伝えるのはなかなか難しい。本人の意識がなく施設にいる人を、どう救済するかという問題もある。いくら医療機関や施設にポスターを貼ったり、Twitterでお知らせしてもその人には伝わらない。

―鳥取県や山形県など、個別通知を行っている県もあり、プライバシーの保護と両立している。

議員連盟の中では詳細を知らなかったので、今の情報はありがとうございます。ただ手術のことを知らない親族に知らせることがいいかどうか、という議論はある。

被害の発生源は国会

―救済法の制定から時間が経っても被害者の認定が進まない以上、議連の責任としてルールの見直しをするべきではないか。

そうかもしれない。議員連盟が救済法を作ったのは、私たちに責任があるからだ。優生保護法は日本で初めての議員立法として、とりわけ参議院中心で成立した。一連の被害の発生源は国会であるため、国会の議員立法でこそ克服しなくてはならないと思っている。きめ細かい対応をしたらどうかというのは、その通りだ。

―厚労省に対して、個別通知をしないとする通知の見直しなどを議連として求めたらどうか。

あと10年20年経ったら亡くなっている被害者も多い。その時点で救済したと言っても遅すぎる。いますぐに個別通知を撤回するというよりも、何ができるかということを、N G Oや各県などと相談する。法律で定められた救済期間も延長することは大いにありうる。

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