編集長コラム

良き日(185)

2025年11月08日11時19分 渡辺周

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11月6日は良き日だった。

午後に新しいインターンを迎えた後、夜はTansaに来春から専従メンバーとして加入予定の元インターンに内定書を渡した。

内定書の交付など事務手続きを終えた後は会食へ。辻麻梨子、中川七海、湯川友愛、千金良航太郎、元インターンと私の6人で、韓国料理店に行った。普段はそれぞれの取材や運営の仕事で、なかなかそろわない。せっかくだからと、仕事を切り上げた。

元インターンの来春からの加入を祝って乾杯した後、中川七海から、「創刊当初は若手メンバーたちとばかり仕事をするとは思わなかったでしょ」と言われた。

確かに。当初は、ジャーナリストにしろ運営スタッフにしろ、ベテランたちが主体だった。あのベテランたちがいたからこそ今のTansaがある。知恵や人のネットワークを授けてくれた。

一方で、Tansaがこれまでのマスコミの代替ではなく、前人未踏の地を切り開こうとした時、次第に若手が主体になっていったのは必然だと思う。

探査報道には技術と経験が必要だ。それらを伝授して、力あるジャーナリストに育成するのは私の仕事だ。

だが自分たちの組織文化を育み、将来に渡って社会に必要とされる存在であり続けるためには、若手たちが主体的であるべきだ。

例えばインターンの採用。やる気があれば採用していた初期の頃と、今とは違う。Tansaで将来一緒にやっていく同僚に育成できるかを基準にしている。Tansaの未来にかかわるので、若手メンバーたちが採用の可否を決めている。私の最終的な承諾は必要ない。

応募動機を読み込み、面接をし、インターンとして採用するかを決めるのだが、事務所にいると採用可否の議論が聞こえてくることがある。何となくの印象で議論するのではなく、あらかじめ決めたいくつかの基準に、応募者がどの程度合致するかを話しているようだ。なるほどなぁと思った。応募した人だって、印象で判断されるより納得できるだろう。

私自身は、Tansaを立ち上げる前は真逆の組織で仕事をしてきた。上位下達と減点主義がはびこる組織だ。ずいぶんと悔しい思いをしてきた。

理不尽に対峙し強くなる。そういう意味で「いい経験だった」とは思わない。上位下達と減点主義がもたらす理不尽など、経験しなくていい。

さらに言えば、経験してはならない。私たちは理不尽な目に遭っている人のために探査報道をしている。組織内の理不尽でエネルギーを割いている場合ではない。

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