Tansaは2月から、創刊10年目に入った。よくここまで来たものだ、次の10年の成長プロセスを描くぞとめでたい気分に浸りたいところだが、そうはいかない。「国破れてTansaあり」では意味がないからだ。
高市早苗首相がきのう、国会で施政方針演説を行った。
「とにかく成長のスイッチを押して、押して、押して、押しまくってまいります」
「日本人には底力があります」
「インド太平洋の輝く灯台」
とりあえずウケ狙いの美辞麗句を並べているだけ。相変わらず中身のない演説だったが、一番腹が立ったのは次の一節だ。
「『重要な政策転換を、何としてもやり抜いていけ』。国民の皆様から、力強く背中を押していただけたと考えています」
私は高市首相の背中を押した覚えはない。勝手に「皆様」と言わないでほしい。高市首相のことは、止めなければならないと考えている。高市氏は、戦争と基本的人権の蹂躙をもたらす危険性が高い首相だからだ。政治信条は政治家によって多様でいいと思うが、平和主義と基本的人権の尊重を蔑ろにする政治家は許容できない。
だが、衆院で68%という戦後最高の議席占有率を獲得した高市政権を、どうやって止めるのか。
私は、高市氏の政治家としての弱さに着目している。
TBSのnews23で、統一教会の「TM特別報告書」について、れいわ新選組共同代表の大石晃子氏に突っ込まれ、「名誉毀損になりますよ」と荒唐無稽なことを言った。怯えているからだ。衆院選中のNHKの討論番組からは逃げたし、TBSの選挙特番で爆笑問題の太田光氏が政治家の責任の取り方について迫ると「なんか意地悪やなぁ」と言った。
本来政治家は、どんな批判にも正対して応じるものだし、首相ならなおさらだ。結局、高市氏は自分が上昇ムードに乗っている時は強さを演じられるものの、劣勢になると逃げの一手で崩れていく。実のところは弱い。私はそうみている。
高市首相に対峙する側が「やれるもんならやってみい」と覚悟を決める。それが重要だ。小さくても穴をあければ風が流れ込み、そこから厚い壁は崩れていく。
マスコミには期待できない。どこも組織の生き残りで精一杯だ。強制的な受信料に支えられるNHKは、新聞社や民放よりは余裕があるが、心が折れている。NHKの記者やディレクターと接していて、うんざりすることがよくある。何かと「局内的には」と言って、組織内のことばかり気にしている。視聴者、社会の方を向いていない。
職業や世代に関わらず、意思ある人が力を合わせるしかない。
Tansaは地を這う取材をし、ビッグデータを解析し、情報公開請求を重ね、ビジュアルなど表現方法も追求する。そうやって作り込んだ探査報道で挑む。
私たちの探査報道は「公共財」と捉えている。経済事情に関わらず誰もが読めるよう料金を取っていない。少しでも多くの人に広まるよう、ぜひ協力してほしい。

2026年2月20日、施政方針演説をする高市早苗首相(首相官邸ウェブサイトより)
メルマガ登録