きのうの夜、自由人権協会(JCLU)のシンポジウム「身近な公害『PFOA汚染』〜私たちの健康・暮らしにかかわる人権問題〜」に出かけた。
ゲストはPFOA汚染を3年半前から取材しているTansaの中川七海、JCLUのホストは西村友希弁護士だ。JCLUはTansaの「国葬文書隠蔽裁判」を支援事件としている。西村弁護士は、JCLU所属の5人の弁護団の1人でもある。
出だしから、おっ、この2人やるなと思った。
普通はゲストが講演をする。司会役は最初にゲストを紹介すれば、あとは最後にお礼を言うくらいだ。
だが2人は違った。最初から最後まで、西村弁護士が質問をして中川が答えるという「掛け合いスタイル」をとった。
西村弁護士は、「PFOAってなに?」、「人体の影響は?」という誰もが抱く素朴な疑問から質問し、次第に深い話題へと入っていった。経産省と環境者の役割と力関係はどうなっているのか、環境問題を人権問題と捉えられるか、市民はどう行動したらいいのか・・・。
中川は的確に回答していく。編集長として中川の取材内容を理解しているはずの私も、「なるほど、そうだったのか」と新たな発見があった。
西村弁護士と中川は周到に準備をしていた。
西村弁護士は元旦から始動し、中川の著書『終わらないPFOA汚染 公害温存システムのある国で』(旬報社)を読み込んだ。
国葬文書隠蔽裁判の打ち合わせがTansaと弁護団であった日は、2人だけその前に落ち合った。「PFOAシンポ」の計画を練るためだ。その後、西村弁護士はシンポの台本まで作る。
お互い忙しいのにここまでできるのは、2人がワクワク感と使命感を持ちながら仕事をしているからだと思う。
西村弁護士は、塾の講師をしながら「苦節十数年」の末に弁護士になった。弁護士という職業にかけるエネルギーを感じる。中川によると、西村弁護士は弁護する被疑者に送る手紙には、素敵な記念切手を選んで貼り相手の気持ちを和ませているという。中川はそういう姿勢に共感している。
中川もまた、自分の進む道を妥協せずに模索した結果、ジャーナリストという職業に就いている。Tansaの存在を知った時、すでにアメリカの大学への留学が決まっていたが、スパッとキャンセルした。すでに授業料を振り込んでいるのに、何て思い切りのいい決断をするんだと驚いたのを覚えている。Tansaがまだ、まともに給料を出せない時だったから尚更だ。
西村弁護士と中川は名コンビだと思う。
それは個別に偶然生まれたのではない。時計の針が逆戻りするように、強い者が弱い者の人権を踏みにじる時代が到来している中で、芽吹いたのだろう。
西村弁護士が昨年11月、国葬文書隠蔽裁判のシンポの際に面白いことを言っていた。
アメリカの医療ドラマを観ていたら、ドクターが「そんなことをしたらACLU(アメリカ自由人権協会)と喧嘩することになるぞ」と言っていた。職場で障がいがある人を差別することに対し、ACLUの名前を持ち出して注意喚起したのだ。ドラマで名前が出てくるくらい、アメリカの自由人権協会は認知度が高くて影響力がある。日本の自由人権協会(JCLU)も、ドラマで名前が出てくるような存在にしたい。
中川も、Tansaが社会を変える影響力を持つには何をすればいいかと常に考えている。ジャーナリストと弁護士で職業は違っても、影響力を持ちたいと願う理由は同じだ。2人の相乗効果が楽しみだ。

西村友希弁護士(左)とTansaの中川七海
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