TM特別報告書

「安倍首相がお母様にひれ伏すように」 奔走した統一教会幹部、「10万票」目当てに実現した会談(4)

2026年01月30日 17時00分  Tansa編集部

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統一教会のハン・ハクチャ(韓鶴子)総裁=統一教会のサイト「FFWPU Mission Support」から

自民党は「自虐史観」への抵抗が強い。日本の過去の植民地支配と戦争を、正当化したり美化したりする。

安倍晋三はその典型だった。

安倍政権が歴史の教科書の検定基準を改定。その後、「従軍慰安婦」や「強制連行」などをめぐり、歴史の教科書に政府見解が記述されるようになった。現総裁の高市早苗は、そんな安倍を師と仰ぎ、2026年1月には安倍の遺影と共に伊勢神宮を参拝した。

だが統一教会の教義は、日本が贖罪のために韓国に尽くさねばならないというもの。日本の信者に教義を刷り込み、高額な献金をさせた。

統一教会総裁のハン・ハクチャ(韓鶴子)は、安倍への対策をとるよう指示した。日本の幹部たちは、安倍を何とか懐柔しようとする。

手段は、選挙協力だ。

「安倍首相に7日間の原理修練を」

岸信介や笹川良一が発起人となって、1968年に創立された「国際勝共連合」。統一教会の政治工作を担う組織として活動し、2018年に50周年を迎えた。

だが日本の統一教会の幹部にとって、なかなか思うようにならない政治家がいた。岸の孫、安倍晋三だ。

安倍は2012年から首相に復帰し、権力基盤を着々と固めていた。だが日本の過去の植民地支配や戦争への態度は、統一教会とは相容れない。

国際勝共連合会長の梶栗正義は、2018年10月18日のTM特別報告で、「真のお母様」であるハン・ハクチャの安倍に関する指示を振り返っている。「天正宮」とは、韓国のソウル郊外にある統一教会本部の宮殿のような施設のことだ。教団の重要行事はよくここで行われる。

特別にお母様が天正宮集会で日本の国家復帰について深刻ながらも貴重なお話をしてくださり、私たちを指導してくださいました。

 

日本国が歴史的に清算すべき過去、日本の指導者たちの歴史認識問題とあわせて、特別に安倍首相については7日間の原理修練を受けさせると同時に、夫人も共につなげて祝福を受けるようにうまく導かなければならないという、祝福と激励の御言葉をくださいました。

ハンの指示は、安倍に対して統一教会の教義を教え込むようにという趣旨だ。だがなぜそこまでしなければならないのか。日本の過去の罪深い歴史を、日本の指導者が清算する役割を果たす必要があるのだという。

お母様は日本国が過去100年史をめぐって背負ってきた朝鮮民族への罪について、ユ・グァンスン烈士を例に出す等、日本の罪を強調しながらも、天の父母様が人類救済6000年の歴史をもって準備されてきた真の父母様を、日本国と指導者たちが正しくお迎えして一つになり、天の摂理を手伝い、天が期待する役割をする時にようやくその清算を終えることができると言いました。天が準備された時機と歴史的な使命についてお話しくださいました。

 

私はお母様が日本の清算をお話しされる時さえも、その御言葉の中に愛と生命を感じ、その御言葉の中に溶けてしまいたい衝動に駆られました。

韓国・ソウル郊外にある統一教会の施設「天正宮」=ニュースタパ提供

「側近議員」の仲介で

ハン・ハクチャは安倍晋三をうまく導けと言うが、どうすればいいのか。国際勝共連合会長の梶栗正義が苦心している中、チャンスが訪れた。

2019年7月の参院選だ。第二次安倍政権発足から6年半。政権基盤は安定していた。だが、6月に金融庁が「年金だけだと老後の資金が足らず、30年間で2000万円不足する」という試算を報告。社会不安が募り、政権与党にとっては逆風だった。

そこへ7月、安倍の側から連絡が来る。梶栗は「嬉しいことがありました」と、2019年7月6日のTM特別報告で喜ぶ。

お母様、すでに徳野会長が報告したかもしれませんが、今回嬉しいことがありました。

 

私もお母様がお話ししてくださった後、安倍首相に会う機会をつくるための努力を継続してきました。しかし、私には安倍首相に会う動機と理由がありますが、向こうが私たちに会う動機と理由を感じられずにいたため、事が簡単には運びませんでした。

 

そのような中、今度の7月21日に行われる参議院選挙で安倍首相が北村経夫議員を必ず当選させたいということで、私たちに応援要請をしてきました。

 

首相の意向をめぐって、私と自民党最高幹部数名がこの間選挙で勝つための作戦会議を繰り返してきたなかで、7月1日ついに安倍首相の側近議員が私に連絡をくれ、安倍首相が私と徳野会長に明日会いたがっているという意思を伝えてきました。

安倍が統一教会会長の徳野英治と、梶栗に会いたがっていると伝えた側近議員とは誰なのか。

7月2日午前11時10分ごろ、自由民主党総裁専用応接室で私と徳野会長、そして3名の勝共連合のスタッフたちと、安倍首相、彼の側近であり自民党の幹事長代行である萩生田光一議員との面会が実現しました。

 

今年初めから私が萩生田議員に参議院選挙の前に安倍首相との面談ができるよう、要望を伝えてきましたが、選挙公示の3日前のこの日、ついに面談が実現しました。G20サミットを終え、選挙戦に突入しようするこの時期に萩生田議員が首相のスケジュールを調整してくれ、実現した会談の場でした。

父子2代の縁をアピール

会談では安倍が「シビアな選挙になる」と言ってきた。

私たち5名が待機していた応接室に、安倍首相が萩生田議員と共に入ってこられ、20分ほどの時間を共に過ごしました。安倍首相が私たち一人一人とそれぞれ握手を交わし、席に座り会談が始まりました。

 

まず私たちがG20ホストとして首相閣下の苦労が大変多かったでしょうと挨拶すると、安倍首相は本当の闘いはこれからになりそうだと、参議院選挙戦がシビアであることを強調されました。

梶栗はハン・ハクチャのメッセージも伝えた。

続いて、徳野会長がお母様の世界巡回を通じて実現した奇跡のような実績を、首相にアルバムを見せながら紹介し、首相へのお母様のメッセージを3つ伝えました。

 

1.世界と日本のために首相閣下の仕事に敬意と感謝の言葉を伝えたい

 

2.世界とアジア平和と安定のためには日米韓が一つにならなければならない

 

3.大変難しいと思うが日韓関係を改善するために不断の努力をしてほしい

 

続いて私が、安倍首相が私たちにお願いした、北村議員を当選させるための戦略と全国で展開している活動を紹介しました。

30万票動かせば

梶栗正義は自身の安倍家との縁もアピールする。梶栗玄太郎とは正義の父で、国際勝共連合連合の会長や世界日報の社長など、統一教会関連組織の要職を務めた。

そして最後に、88年に同じ総裁応接室で、首相の父上である安倍晋太郎幹事長と私の父の梶栗玄太郎会長が面談する写真を見せながら、文総裁、韓総裁によって結ばれた2代にわたるご縁をもう一度強調いたしました。

 

最後に記念撮影をして会談を終えることになりましたが、20分にも満たない短い時間でしたが、お母様を証明し、お互いのご縁を確認する貴重な時間になり、安倍首相は時間中ずっと気分よく笑いながら私たちに対応しておられました。

梶栗は、安倍の期待以上に選挙で集票すると意気込む。安倍が見込む統一教会の票は10万だが、20〜30万を目指すという。

選挙戦を必ずや勝利し、次には会食の席を設ける等、より長い時間交流しながら内的にも教育できる道をつくれるように努力いたします。

 

ともかく、今日の会談は天が共にあり、その場を祝福してくださることを実感する、とても良い雰囲気の中で進行でき、日本をめぐって日ごとに真心をこめるお母様の愛の運勢圏を感じずにはおられない、貴重な時間でした。

 

お母様、安倍首相と自民党本部は私たちの組織の勢力を10万票くらいだと考えています。

 

しかし私たちは、神氏族メシア活動を通じた伝道対象者たち、平和運動に参加する理解者たちを中心に30万票を目標にして選挙期間中全国で活動を行っています。自民党の比例代表で、全国で20万票をもつ参議院議員はわずか10名ほどしかいません。

 

もし私たちが30万票ないし20万票を動かすことになれば、安倍首相と日本政府の私たちへの態度は必ず変わるでしょう。来年のワールドサミットについても、私たちの要請を簡単に無視できなくなるわけです。

最後に梶栗は、安倍がハンにひれ伏すようになるため、総力戦を展開するのだと決意をみせる。

この国で、真の父母様の位相を高めるために、全信者たちが、今回の選挙で私たちの底力を安倍政権、そして日本社会に提示できるように総力戦を展開しております。

 

必ず勝利し、安倍首相がお母様にひれ伏し、拝むようになるために長子権復帰を実現いたします。また書信を送ります。

(韓日翻訳:姜旼宙)

(敬称略)

「TM特別報告書」を報じるにあたって

TM特別報告書に関し、統一教会は反論し、自民党は目を背けています。

統一教会側からは2026年1月16日、世界平和統一家庭連合広報渉外局が「『TM特別報告 』(俗称)に対する当法人の見解」を公表しました。

見解では、TM特別報告書を作成した元世界本部長のユン・ヨンホ(尹煐鎬)氏のもとで活動していたとされる職員のリポートを掲載。TM特別報告書には意図的な省略、書き換え、追記が含まれている可能性が高く、「極めて信憑性に欠ける」と指摘しています。リポートの筆者である職員は匿名で、役職等も記されていません。

また、TM特別報告書に出てくる日本の政治家との関係については、「事実関係を超えて表現が誇張されている、文脈が脚色されている、あるいは事実として確認できない内容が含まれている可能性を否定できません」と書いています。

統一教会側からは、元会長の徳野英治氏もXで2026年1月8日に発信しました。TM特別報告書について、「私が韓総裁に報告するために元世界本部長に送った報告が含まれているのは事実」と自身の報告が含まれていることを認めた上で、「個人的意見や希望的予測なども多く含まれています」などと記しています。

自民党は元総裁の安倍晋三氏が殺害されて2カ月後、2022年9月に統一教会との関係を調査し「党としての組織的な関係はない」と結論を出しました。調査は議員による自己申告で極めて不十分なものでしたが、現総裁の高市早苗氏は、TM特別報告書を検証する意思が今のところは全くありません。2026年1月26日にはTBSの「news23」に出演。れいわ新選組共同代表の大石晃子氏にTM特別報告書に高市氏の名前が出ていることなどを指摘され「出所不明の文書」「名誉毀損になりますよ」とまで言っています。

Tansaは、3212ページある韓国語のTM特別報告書すべてに目を通しました。AIによる分析も活用し、翻訳者、取材パートナーである韓国の探査報道組織「ニュースタパ」と共に検証しました。

統一教会に関しては、ジャーナリストや研究者、被害者対策に取り組んだ弁護士や宗教家による膨大な調査結果が蓄積されています。Tansaは先達の仕事に敬意を払い、その成果も活用させていただきながら、TM特別報告書を検証しました。

その結果、統一教会と自民党の長年にわたる共依存を解き明かす上で、TM特別報告書は極めて重要な資料であると判断しています。

TM特別報告書について報じながら、取材を続けます。統一教会と自民党の癒着について、明かされていない内部情報をお持ちの方は、ぜひTansaまでお寄せください。責任を持って情報源を秘匿し、お守りします。

情報提供にあたっては、以下のページをご参照ください。連絡方法や注意点、公益通報者保護法のポイントを掲載しています。

https://tansajp.org/whistleblower/

統一教会は2015年に「世界平和統一家庭連合」と名称変更し、マスコミ各社は「旧統一教会」と呼称しています。しかし、教団がはらむ問題には連続性があるため、Tansaは「統一教会」と表記します。

 

2026年1月27日

Tokyo Investigative Newsroom Tansa

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