
萩生田光一氏と自民党の選挙ポスター=東京都八王子市で2026年1月31日、中川七海撮影
2026年1月27日に公示された衆院選で、取材から逃げ回る政治家がいる。
自民党幹事長代行の萩生田光一。総裁の高市早苗が幹事長代行に抜擢した。高市の「政治の師」である安倍晋三からの信頼も厚く、安倍は「将来の首相候補だ」と公言していた。
萩生田が取材から逃げる理由が、統一教会との癒着にあることは明らかだ。
TM特別報告で萩生田は、統一教会と自民党との「ホットライン」の役割を果たした政治家として記録されている。
萩生田「徳野会長に直接会いたい」
2019年7月2日、首相の安倍晋三と幹事長代行の萩生田光一は、統一教会会長の徳野英治や国際勝共連合会長の梶栗正義らと会談した。参院選で、北村経夫に対する統一教会の支援を依頼するためだ。会談の詳細は本シリーズの5回目で報じた。
この会談で安倍と統一教会は距離を縮めたが、きっかけを作ったのは萩生田からの要請だった。会談に先立ち、萩生田ら自民党と統一教会の幹部たちによる夕食会があった。
2019年4月25日、徳野が「安倍政権、自民党の幹部との夕食」と題して、TM特別報告を行っている。
来る7月の国会参議院選挙で北村経夫参議院議員を応援するために、いつも安倍首相と私たちをつなげてくださる萩生田光一自民党幹事長代行と、安倍派会長の細田博之会長、また前総務副大臣の奥野信亮衆議院議員、また北村経夫議員本人とともに夕食の席を持ちました。
私たちの側は、私と梶栗UPF議長、そして勝共連合・平和連合横田理事長と松本康事務局長等、4名が参加しました。松本事務局長は東京大学CARP(原理研究会 *Tansa注)出身で、以前モンゴル国家責任者として英語、韓国語、モンゴル語もできるほど語学も堪能なリーダーです。
7月の選挙のために教団のトップにあいさつをしたい、徳野会長に直接会いたいと萩生田光一自民党幹事長代行から要請があり、今回の夕食の席を持つことになりました。詳しい内容は後日報告いたしますので、今回は写真だけをお送りいたします。
萩生田とは「いつも連絡をする関係」
萩生田という協力者を得て、徳野は自信を深めていく。
2020年6月12日、徳野によるTM特別報告。2018年10月に韓国の最高裁が日本企業に対し、元徴用工に賠償金を支払うよう命じた判決を出して以来、日韓関係が悪化していた。
真のお母様もご存じのように、残念ながら現在の日韓関係は近年で最悪の状態です。
日本政府は、韓国政府が徴用工裁判問題で日本企業の資産の現金化と賠償を履行すればホワイトリスト除外について譲らないと言い、韓国政府はWHOにこの問題で日本を再び提訴するといいます。
日本の麻生財務大臣(元首相で、安倍首相の友人)が、韓国側の対応によって韓国人の渡航問題において今後のビザ発給に時々否定的な見解を示しています。そして日本からの送金問題についても私たちが懸念するほかない発言を、時々繰り返しています。しかし、送金問題のチェック強化および規制の厳格化は現時点ではないと思われます。
もしも日韓問題が今よりも悪化し、ビザだけでなく送金問題についても安倍政権が厳格な措置を取るのならば、私自身が安倍首相に直接会って談判する覚悟でいます。
現時点ではまだそうなるほどの深刻な状況ではないため、ご心配には及びません。しかし、最悪の事態も想定して、覚悟をしております。幸いにも安倍首相との会見を今まで仲介してきた萩生田現文部科学大臣とはいつも連絡をする関係であり、もしも有事の際にはそのようなホットラインを通じて直談判する覚悟でございます。
徳野は、萩生田が官房長官になることを期待した。以下は、2020年9月のTM 特別報告だ。
現在、私の願いはこの菅官房長官が新しい首相になり菅政権が誕生した際に、次期官房長官の候補の一人に挙がっている萩生田光一現文部科学大臣が官房長官に就任することです。もし実際にそのようになった場合、願ってもいない最高のシナリオです。
なぜならこれまで私たちと安倍首相の面会を一貫して斡旋してくれた人がこの萩生田光一大臣だからです。私はこれまで5回安倍首相と会いましたが、一貫して安倍首相との面談をセッティングしてくれ、面談の際にはいつも安倍首相のそばで見守ってくれていた人物がこの萩生田大臣です。
梶栗も萩生田頼み
国際勝共連合の梶栗正義も、萩生田に頼っていた。
2022年3月30日、梶栗によるTM特別報告。IAPPとは「世界平和国会議員連合」のことで、統一教会の関連団体が主導して創設された。
日本では、IAPP議員連盟名誉会長を歴任した細田博之議員が、昨年の衆議院選挙後に国会議長に任命されました。歴代の国会議長の中で私たちと最も近い議長になりました。
議長職にいる間は党派性を持たず、公平を期すためにすべての役職を辞任すべきという原則のために、一旦IAPP議員連盟名誉会長職を降りなければならない立場ですが、細田議員は私たちの議員連盟への主体性が強く、名誉顧問として名前を残した上で、次期議員連盟会長として安倍首相の側近の萩生田光一大臣を推薦してくれました。
萩生田大臣は現在経済産業大臣として、岸田内閣で最も忙しい閣僚の中の一人としてTVに出ない日はないほど活躍しております。
やはり規則上、大臣など政府要人として任命された議員は私的な組織の長にはなれないため、現職閣僚でいる間は議員連盟の会長職を兼ねることはできませんが、大臣の任期を終えれば、喜んで私たちのIAPP議員連盟の会長を引き受けると萩生田大臣本人も約束してくれました。
朝日新聞がスクープした会談の裏側
2023年12月4日、朝日新聞がスクープを出す。岸田文雄が自民党政調会長だった2019年10月4日、アメリカの元下院議長ニュート・ギングリッチと会談。その場に梶栗正義が同席していたという内容だ。
自民党は安倍晋三が殺害された後、統一教会と関係があった所属国会議員を公表したが、岸田の名前はなかった。自民党の調査がいかに杜撰かを裏付けるスクープだった。
朝日新聞の取材に対し、岸田の事務所は「経緯はわからないが、ギングリッチ氏との面談であるとの認識だった」と回答。梶栗が同席していたことについての説明はなかった。
だが2021年9月7日のTM特別報告で徳野英治は、岸田、ギングリッチ、梶栗の会談を設定したのが萩生田だったと明かしている。会談までの経緯を岸田が知らないはずがない。
岸田元政務調査会長は、2019年10月4日、名古屋大会直前にアメリカのギングリッチ元下院議長と梶栗UPF議長と共に、萩生田現文部科学大臣の仲介で面談しました。
萩生田事務所にて
統一教会にとって、自民党とのパイプ役だった萩生田。総裁の高市から幹事長代行として重用され、現在行われている衆院選挙に立候補している。
Tansaは萩生田に選挙公示日の2026年1月27日、TM特別報告に出てくる内容について、質問状を出した。
だが期日までに回答が来ない。選挙中で忙しいのだろうか。1月31日、Tansaの辻麻梨子と中川七海が東京都八王子市内の選挙事務所に赴いた。萩生田は、いつどこで街頭演説をするのかすら、予定を公開していなかった。
萩生田の秘書、秋山里佳が、「お疲れ様です。お若いですね。今メディアのご質問などご担当させていただいておりまして」と言って、辻と中川に応対した。以下がやりとりだ。
(辻)どの辺で街宣されるんですか。
「その場その場で人が集まっているようなところへ行って、チラシ配布等々という、そういう流れになっているので、特に告知ができるような、ここでって言えるようなものではないです。もし今日だったら、本当に偶然たまたま見つけていただくしかない感じです」
(中川)ルートだけはなんとなく今決まってますか。
「大体イメージは」
(中川)それを教えていただけませんか。
「ごめんなさい。それも、私たちとしてはこの地区からこの地区に行く、みたいなところしか分かってなくて」
(中川)先日、質問状をこちらの事務所宛にお送りしまして、その回答期限が昨日の正午でしたが、回答いただいていないんですけれども。
「旧統一教会の件ですね。届いてはいました。ちょっと担当者に。別の者がやってますので」
(辻)そのご担当者は秘書の方ですか。
「秘書の者と、ここに集まっているメンバーの中からなので。ちょっとごめんなさい、名前は伏せさせていただきますけど」
(中川)萩生田さんと統一教会との関係については、いつご自身で説明されるんですか。
「安倍さんが亡くなられた直後に、いろんな方から、関係があったのかみたいな、そういうところから始まって、いろいろご質問をいただいたときは、それについてはもう既に回答しているんですね。 統一教会という団体とは直接関係ないけれども、その下部組織であった、家庭、何でしたっけ、家庭なんとかっていうような方とお会いしたことはあるんじゃないかな、みたいな。ちょっと私も正確に何と答えたか覚えてないですけど」
(中川)選挙期間中にきちんと統一教会との関係について、ある、ないも含めて説明される予定はないということでよろしいですか。
「私の口からはちょっと、私担当者じゃないもので」
(中川)ご担当はどなたになりますかね。
「名前はごめんなさい、伏せさせていただいて」
(中川)いやいや、有権者に問わなきゃいけない選挙期間なのに名前すら言えないんですか。
「逆に、選挙期間だからこそ、偏った情報が流れちゃうと変わるじゃないですか」
「例えば、いろんな方から同じような、変ななんとか報告書みたいな、 エルメスのネクタイもらったとかってやつですよね。 いろんなお問い合わせも頂いたんですけど。例えば、うちに対して何か言ったことで、他にも候補者がいらっしゃるじゃないですか。でも 24区の選挙区の中で、うちの統一教会が絡んでるなんていう記事だけが、例えば選挙期間中に流れちゃうと、良くも悪くもうちの名前だけがアピールされちゃうことになるんですよ」
「例えば大手の記者クラブに入っていらっしゃるようなメディアの方は、全部の候補者を公平に扱わなきゃいけないという協定があるんですよね。例えばテレビでうちの取材をしたら、他の候補者についても同じような取材の映像を流さなきゃいけなかったり」
(中川)その協定っていうのは、どこが出してる協定を指していますか。
「協定っていうのかな?」
(中川)そんなのないですよね。
「紳士協定なのかな。分かんないですよ」
(辻)それを今反省して、兵庫県知事選の時にきちんと報道しなかったということで、メディアが報道しますという宣言を出しているので。今もそういったところはメディアも、きちんと報じるべき、投票に資する情報、投票する時の判断に関する情報っていうのはきちんと出すという風になっているので。
「それが例えば有権者が、萩生田が統一教会に関係してるから投票しないとか、逆に、自分は統一教会だからこれをやってくれるなら入れるわ、みたいな判断材料になるってことじゃないですか。うちが統一教会と何か関わりがあったっていうことを報じるのであれば、他の候補者については、あったかどうかっていうことを報じていただかなかったらフェアじゃないじゃないですか」
(中川)それはきちんと取材をしておりますし、今は、秋山さんが他の候補者のことを気にするのではなく、まず萩生田さん自身がどうかっていうところについてきちんと公にするのか。
「それはタイミングですよ。今このタイミングで、例えば今日、萩生田はこうだっていうのを出したと。それに対して、選挙民の行動が変わっていくということになるのであれば、他の候補者についても同じ情報をやっぱり同じタイミングで出して、例えば立憲のなんとか、旧立憲の代表が統一教会とこういうことをやっていた、その立憲の代表だったなんとかさんは、前回の選挙の時に随分萩生田のことを統一教会、統一教会と攻撃なさっていたけれども、実際はそうだったという記事も出ていなかったら、フェアではないじゃないですか」
萩生田と岸田の演説会も取材はお断り
Tansaは当然、TM特別報告の中で出てくる野党に関する記述も押さえている。選挙期間中に報じる予定だ。
しかし、TM特別報告が示しているのは自民党と統一教会との蜜月であり、その濃密さは他党と比較にならないほどだ。
政権を担う党の要職として、萩生田には取材に応じる責務がある。言い分があるならば、Tansaは報じる。萩生田が直接、私たちの取材を受けることを強く望む。
だが今のところ、本人にそのつもりはなさそうだ。
2026年2月1日、萩生田は岸田文雄を招いて演説会を実施するとXにアップした。岸田、アメリカの元下院議長のギングリッチ、勝共連合会長の梶栗との会談を実現させたのは萩生田だ。岸田と萩生田が何を語るのか取材したいところだが、注意書きには、こうあった。
「報道関係者の取材・撮影はご遠慮いただいております」
(韓日翻訳:姜旼宙)
(敬称略)
「TM特別報告書」を報じるにあたって
TM特別報告書に関し、統一教会は反論し、自民党は目を背けています。
統一教会側からは2026年1月16日、世界平和統一家庭連合広報渉外局が「『TM特別報告 』(俗称)に対する当法人の見解」を公表しました。
見解では、TM特別報告書を作成した元世界本部長のユン・ヨンホ(尹煐鎬)氏のもとで活動していたとされる職員のリポートを掲載。TM特別報告書には意図的な省略、書き換え、追記が含まれている可能性が高く、「極めて信憑性に欠ける」と指摘しています。リポートの筆者である職員は匿名で、役職等も記されていません。
また、TM特別報告書に出てくる日本の政治家との関係については、「事実関係を超えて表現が誇張されている、文脈が脚色されている、あるいは事実として確認できない内容が含まれている可能性を否定できません」と書いています。
統一教会側からは、元会長の徳野英治氏もXで2026年1月8日に発信しました。TM特別報告書について、「私が韓総裁に報告するために元世界本部長に送った報告が含まれているのは事実」と自身の報告が含まれていることを認めた上で、「個人的意見や希望的予測なども多く含まれています」などと記しています。
自民党は元総裁の安倍晋三氏が殺害されて2カ月後、2022年9月に統一教会との関係を調査し「党としての組織的な関係はない」と結論を出しました。調査は議員による自己申告で極めて不十分なものでしたが、現総裁の高市早苗氏は、TM特別報告書を検証する意思が今のところは全くありません。2026年1月26日にはTBSの「news23」に出演。れいわ新選組共同代表の大石晃子氏にTM特別報告書に高市氏の名前が出ていることなどを指摘され「出所不明の文書」「名誉毀損になりますよ」とまで言っています。
Tansaは、3212ページある韓国語のTM特別報告書すべてに目を通しました。AIによる分析も活用し、翻訳者、取材パートナーである韓国の探査報道組織「ニュースタパ」と共に検証しました。
統一教会に関しては、ジャーナリストや研究者、被害者対策に取り組んだ弁護士や宗教家による膨大な調査結果が蓄積されています。Tansaは先達の仕事に敬意を払い、その成果も活用させていただきながら、TM特別報告書を検証しました。
その結果、統一教会と自民党の長年にわたる共依存を解き明かす上で、TM特別報告書は極めて重要な資料であると判断しています。
TM特別報告書について報じながら、取材を続けます。統一教会と自民党の癒着について、明かされていない内部情報をお持ちの方は、ぜひTansaまでお寄せください。責任を持って情報源を秘匿し、お守りします。
情報提供にあたっては、以下のページをご参照ください。連絡方法や注意点、公益通報者保護法のポイントを掲載しています。
https://tansajp.org/whistleblower/
統一教会は2015年に「世界平和統一家庭連合」と名称変更し、マスコミ各社は「旧統一教会」と呼称しています。しかし、教団がはらむ問題には連続性があるため、Tansaは「統一教会」と表記します。
2026年1月27日
Tokyo Investigative Newsroom Tansa
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