
自民党は統一教会と所属議員の関係について、2022年9月8日に調査結果を公表した。元首相の安倍晋三が殺害されてから、2カ月後のことだ。
379人中、半数近い179人が統一教会との接点を認めたものの、調査は議員の自己申告によるもので極めて不十分だった。
名前を公表したのは「関与の度合いが強い」121人。統一教会関連団体の行事への出席や、選挙でのボランティア支援の有無などで分類しただけで、具体的にどのような関係を持っていたのかは明らかにしていない。
自民党は統一教会との関係を隠蔽したまま、2026年1月27日に公示した衆院選に臨んでいる。
しかし、TM特別報告では自民党議員と統一教会との関係が詳細に記されている。有権者に投票の判断材料としてもらうため、TM特別報告の中で、統一教会との関係が具体的に示されていた衆院選の自民党候補者たちを取り上げる。
逢沢一郎「私ができることであればなんでもやります!」
岡山1区から立候補している逢沢一郎は、統一教会との関係が濃い。統一教会会長の徳野英治は、2021年3月16日のTM特別報告で、その関係の近さをアピールしている。
私が個人的に今まで長い間心情的なご縁があり、親しく過ごしている岡山県出身の自民党幹部の国会議員がいます。名前は逢沢一郎という衆議院議員ですが、数日前に私に電話がありました。
本人はミャンマーと日本の国会議員連盟会長である関係で、TVで最近の深刻なミャンマー情勢についてのインタビューを受けたそうですが、必ずそのインタビュー放映を見てほしい、そして自分のTVインタビューの感想を聞かせてほしいという依頼の電話でした。
この逢沢一郎議員は自民党有力幹部の一人であり、30年間も国会議員を務めています。
逢沢が統一教会に協力的であることも、徳野は述べている。2021年1月28日のTM特別報告。
真のお母様の切実な気持ちに応えるために、実はユン本部長からクリスマスに来れるように具体的に準備してくださいという明確な指示があり、カンファレンスの翌日、すなわち昨日の1月27日の朝から急いで韓国大使館に尋ね、そしてチョ室長には世界本部および韓国大使館の連絡等を担ってほしいと言って、私と梶栗UPF議長、そして堀大陸会長、大塚ヨーロッパ委員長等の日本人が、この時期に果たして日本から韓国に行くビザをもらえるのか、その可能性に果敢に挑戦いたしました。
結果的に、コロナ問題の深刻さと現時点での日韓関係の難しさから、ビザ発給自体が決して容易ではないということがはっきりとわかりました。
ビザ発給が可能とわかれば、通常ビザ発給手続きには約2週間かかりますが、国会議員などの政治家の力を借りれば2~3日に短縮できる可能性を聞いて、急いで私が近しい間柄の岡山選挙区の逢沢一郎衆議院議員に電話してお願いしました。
この議員は自民党幹部として大物ベテラン国会議員であり、また日韓議員連盟の副会長でもあり、韓国政府と韓国大使館にも多くの人脈と影響力を持っている大物国会議員です。その逢沢一郎議員は「そうやって韓鶴子総裁がお呼びになるのでしたら、必ず行かなければならないですよ! 私ができることであればなんでもやります!」と、惜しみなく協力すると電話で約束してくださいました。
TM特別報告書で具体的な記述があった衆院選候補者一覧
逢沢以外にも、今回の衆院選の候補者には、TM特別報告で統一教会との関係が具体的に記されている議員たちがいる。報告書の記述と共に一覧を掲載する。
名前の横の数字は、自民党調査での結果の以下の区分を指す。自民党の調査に名前のなかった議員は(報告なし)と記載。
②選挙におけるボランティア支援
③「旧統一教会および関連団体からの寄付やパーティー収入で寄付もしくはパーティー収入あり」のうち、政治資金規正法上、要公開の対象議員
④「旧統一教会および関連団体に対する会費類の支出」のうち、政治資金規正法上、要公開の対象議員
⑤旧統一教会関連団体の会合への出席(議員本人出席で講演)
⑥旧統一教会関連団体の会合への出席(議員本人出席であいさつあり)
⑦旧統一教会主催の会合への出席
質問状に自民党は回答せず
Tansaは2026年1月26日、自民党広報本部報道局に、総裁の高市早苗への質問状を送付した。TM特別報告の内容を示した上で、1月28日正午締め切りで以下3点を問うているが、2月3日現在、回答はない。
1. TM特別報告書に記載のある、教団と、自民党および自民党所属議員との関係は事実ですか。誤りがある場合は、具体的な根拠とともに正しい内容をお答えください。
2. TM特別報告書に記載のある、教団と、自民党および自民党所属議員との関係について、自民党として調査・検証を行いますか。行いませんか。理由とともにお答えください。
3. TM特別報告書に虚偽が含まれている場合、報告書を作成した旧統一教会本部および同報告書を証拠とした韓国の特別検察および裁判所に対して抗議等を行いますか。行いませんか。理由とともにお答えください。
(韓日翻訳:姜旼宙)
(敬称略)
「TM特別報告書」を報じるにあたって
TM特別報告書に関し、統一教会は反論し、自民党は目を背けています。
統一教会側からは2026年1月16日、世界平和統一家庭連合広報渉外局が「『TM特別報告 』(俗称)に対する当法人の見解」を公表しました。
見解では、TM特別報告書を作成した元世界本部長のユン・ヨンホ(尹煐鎬)氏のもとで活動していたとされる職員のリポートを掲載。TM特別報告書には意図的な省略、書き換え、追記が含まれている可能性が高く、「極めて信憑性に欠ける」と指摘しています。リポートの筆者である職員は匿名で、役職等も記されていません。
また、TM特別報告書に出てくる日本の政治家との関係については、「事実関係を超えて表現が誇張されている、文脈が脚色されている、あるいは事実として確認できない内容が含まれている可能性を否定できません」と書いています。
統一教会側からは、元会長の徳野英治氏もXで2026年1月8日に発信しました。TM特別報告書について、「私が韓総裁に報告するために元世界本部長に送った報告が含まれているのは事実」と自身の報告が含まれていることを認めた上で、「個人的意見や希望的予測なども多く含まれています」などと記しています。
自民党は元総裁の安倍晋三氏が殺害されて2カ月後、2022年9月に統一教会との関係を調査し「党としての組織的な関係はない」と結論を出しました。調査は議員による自己申告で極めて不十分なものでしたが、現総裁の高市早苗氏は、TM特別報告書を検証する意思が今のところは全くありません。2026年1月26日にはTBSの「news23」に出演。れいわ新選組共同代表の大石晃子氏にTM特別報告書に高市氏の名前が出ていることなどを指摘され「出所不明の文書」「名誉毀損になりますよ」とまで言っています。
Tansaは、3212ページある韓国語のTM特別報告書すべてに目を通しました。AIによる分析も活用し、翻訳者、取材パートナーである韓国の探査報道組織「ニュースタパ」と共に検証しました。
統一教会に関しては、ジャーナリストや研究者、被害者対策に取り組んだ弁護士や宗教家による膨大な調査結果が蓄積されています。Tansaは先達の仕事に敬意を払い、その成果も活用させていただきながら、TM特別報告書を検証しました。
その結果、統一教会と自民党の長年にわたる共依存を解き明かす上で、TM特別報告書は極めて重要な資料であると判断しています。
TM特別報告書について報じながら、取材を続けます。統一教会と自民党の癒着について、明かされていない内部情報をお持ちの方は、ぜひTansaまでお寄せください。責任を持って情報源を秘匿し、お守りします。
情報提供にあたっては、以下のページをご参照ください。連絡方法や注意点、公益通報者保護法のポイントを掲載しています。
https://tansajp.org/whistleblower/
統一教会は2015年に「世界平和統一家庭連合」と名称変更し、マスコミ各社は「旧統一教会」と呼称しています。しかし、教団がはらむ問題には連続性があるため、Tansaは「統一教会」と表記します。
2026年1月27日
Tokyo Investigative Newsroom Tansa
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