TM特別報告書

「安倍首相はお母様の代わりに亡くなったのかもしれない」 統一教会幹部がTM特別報告で吐露(13)

2026年02月08日 6時00分  Tansa編集部

FacebookTwitterEmailHatenaLineBluesky

韓国の統一教会本部=ニュースタパ提供

2022年7月8日、安倍晋三は奈良市内で選挙応援の演説中に山上徹也により殺害された。

山上の母が、統一教会に高額の献金をした信者だったことから、統一教会への世論が厳しくなる。統一教会だけではなく、それまで半世紀以上にわたり教団と癒着してきた自民党も窮地に陥る。

TM特別報告では、両者の蜜月が生んだ犠牲者を省みることなく、統一教会と自民党が保身に走る姿が記録されている。

事件2日後には山上家の事情を把握

事件から2日後の2022年7月10日、奈良教区長のキム・サンヒュがTM特別報告で状況を説明する。

まずは事件当日を振り返る。

自民党奈良県公認候補、佐藤啓候補者の応援集会を10時からしました。候補者本人は11時からの大和西大寺駅前の安倍元総理の応援演説があったため来られず、夫人が代わりに来て奈良教会で応援集会をしました。

 

応援集会が終わり、一部の信者は安倍元首相の応援演説に参加するために駅に行き、残りの信者たちはS勝利のための電話かけ大会をしておりました。

 

電話かけ大会の司令塔をしていた時、11時40分ごろ、信者たちが全身を震わせて泣きながら入ってきて、安倍元首相が2発の銃撃を受け、倒れるのを見たと言って天心苑に行き、首相の安全のために皆でお祈りをしました。

キムは、山上の家庭状況について説明する。原文では、山上の母親は実名で記載されているが、A氏と表記する。

イ・ボムソク修練苑事務局長からA氏と長男が精神疾患の治療のために清平40日修練に参加したことがあり、次男徹也氏も1泊2日の清平修練会に一度行ったことがあると聞きました。

A氏の夫は婿養子で、父の事業を婿養子に継がせようと一緒に仕事をしていたのですが、父とうまく合わずに争いが頻繁に起こり、ついには自殺に至ってしまいます。

 

そのような中でA氏は教会青年信者から伝道され、KJ教会所属でいた時に数億の献金をし、家まで売って献金をしたといいます。

 

その後、献金した事実を知り、長男が教会に強く反対し、和田教会長がいる時に家にあった天運石を割り、包丁をもって教会を訪ねてきたこともあったそうです!

 

そのように母子関係が最悪の状況で麗水に行くことになり、麗水から帰って来てからあまり時間が経たない内に長男が自殺しました。

キムは、山上が教会に恨みを抱いていたとみる。

そのような家庭環境だから、犯人も教会に恨みを抱いたようです。妹が母のA氏の家の近くに住んでいるといいます。妹は静かな性格で幼い頃にA氏について教会に来たといいます。

「安倍氏はお母様が下さったプレゼント」

事件から2週間が過ぎた2022年7月23日には、国際勝共連合会長でUPFジャパン議長の梶栗正義が、TM特別報告で総裁のハン・ハクチャ(韓鶴子)に謝罪する。「お母様が下さったプレゼント」である安倍を失ったことへの、謝罪だ。

尊敬し、愛する真のお母様

 

今日は大変恥ずかしく、顔を上げることができないような気持ちで書信をお送りいたします。

 

去る7月8日、安倍首相死去のニュースに私は言葉では表現できない衝撃のために、文字通り目の前が真っ暗になりました。私は安倍首相こそ3代にわたっての真の父母様とのご縁を背景に、この世代の日本民族を代表する真のお母様の証人、最高の洗礼ヨハネ格の人物にならなければならないと信じてきました。

安倍氏こそお母様が私に下さった、私が担った使命を果たすために真のお父様と私の父が残してくださったプレゼントであると思い、これまで信頼関係をひとつひとつ築いてきました。

梶栗は、マスコミの矛先が統一教会に向かうことを警戒する。

心に大きな穴が空いたような感覚から離れられないなかで、現行犯として逮捕された容疑者が殺害動機として私たちの教会についての強い恨みが背景であり、希望前進大会で安倍首相がスピーチする映像を見て衝撃を受けたと陳述したという報道を見て、再び衝撃を受けました。

 

マスコミがUPFのせいで首相が死んだという論調で事件の背景を報道するたびに、この凄まじい事件をどのように受け止めればよいのか、ひとり孤独のなかで心の十字架を背負って苦悩しました。

だが梶栗は、安倍は殺されたがハンは生きていることに、希望を見出す。

数日が過ぎて容疑者の山上が最初に狙っていたのはお母様であったことを知り、その瞬間、息が止まる感覚がいたしました。お母様を失っていたかもしれない。その考えが頭に浮かんだ時、私は血が干からびるような強い衝撃を受けました。

 

そして、安倍首相がお母様の代わりに亡くなったのかもしれないという考えが浮かび、今回の事件を通じて天が私たちに何を教えようとしているのか、多く考え耽るようになりました。

 

お母様は生きていらっしゃる。そうして私は光を再び見つけ、天の前に希望と感謝の心を取り戻すことができました。

「統一教会を激励した」萩生田

統一教会前会長の徳野英治は、2022年7月27日のTM特別報告で、事件後の自民党議員たちの関係を語る。

まずは急に距離をとるようになった議員たちのことを嘆く。

核心部分は、少し前に報告した通り、ほとんど毎日のように国会議員たちがマスコミから私たちとの関係を追及されているということです。

 

大部分が自民党所属の国会議員たちですが、その質問に「関係はありますが、それがなにか問題か?」と堂々と答える国会議員も数名いますが、残念ながら多くはありません。

 

大多数の国会議員たちは「背後に統一教会があるということを知らなかった」「全く関係ない」「選挙支援を受けたことはない」と回避する反応を見せている場合が大部分です。

それでも、統一教会に好意的な議員がいると述べる。

その中でも今まで堂々と答えた国会議員の中に原田義昭元環境大臣がいます。この方は真のお母様もチョン・ウォンジュ政策長も、ユン・ヨンホ本部長もよくご存じの人物です。

 

彼はいつも私たちの集まりに参加し、特に日本とのトンネルプロジェクトに積極的に参加している人物で、日本では最近までIAPP会長を歴任しました。

安倍との「パイプ役」だった萩生田光一は、激励してくれたという。

また現在の経済産業大臣である萩生田大臣は否定もせず、かといって正直に話すこともなく、賢明にマスコミに答えました。

 

私たちにこっそり、「私は大丈夫です。なんの問題もないので心配なさらないでください。それより今はおたくの方が大変でしょうね。どうにかうまく乗り切ってください」と激励する人物です。

 

この萩生田大臣は、 真のお母様もチョン室長もユン本部長もご存知のように、いつも安倍元総理を私たちと繫げてくれる仲介者の役割をずっと続けてきました。摂理的な人士と言える国会議員で、現在も経済産業大臣という重要な大臣職にいます。私も10年という長い期間、交際してきました。

安倍晋三の弟である防衛大臣の岸信夫に関しては、記者会見で堂々と統一教会との関係を認めてくれたと感動している。

そして今日、感動的な記者会見がありました。すでに議長と書記長、梶栗議長から報告があったと思いますので、繰り返しになりますが、安倍元総理の実の弟の岸信夫氏が今日記者会見をしました。私自身も10年もの長い間交際してきました。この人物は安倍元総理の実の弟であり、現在も日本と台湾の議員連盟の会長であり、徹底した反共主義者です。

この岸信夫議員がマスコミにどんな反応を見せるかを日本社会が注目しています。なぜなら統一教会が影響力を持っていたために兄である安倍元総理が暗殺されたと、私たちの団体を非難してもおかしくない関係だからです。

 

しかし、幸いにも私たちとの関係も非常に長く、情緒的なご縁があるためだとは思いますが、マスコミのインタビューに対してこのように答えました。

 

「統一教会の方々の数名を知っています。交流もあり、選挙の時もサポートを受けています。選挙ですから、支持者をたくさん集めることが議員にとって重要です」と言い、「なんの問題もない」という認識をメディアに見せました。

 

これは大変感動的でしたし、私たちに感謝すべきメディアへの返答でした。メディアの悪意的な質問へのすばらしい回答でした。

 

被害者である安倍元総理の実の弟でありながらも私たちを恨む発言は一言もなく、家庭連合との関係性をむやみに否定もせず、知らんぷりもせず、公正にありのままをメディアの前で発言した、本当に感動的なインタビューでした。岸信夫国防長官の発言は他の国会議員たちにも良い影響を与えると確信しています。

「アメリカからの援護射撃が有効」

安倍が殺害されて時間が経つにつれ、自民党は統一教会に背を向けていく。

2022年9月3日の梶栗のTM特別報告。かつて梶栗は、元米下院議長のニュート・ギングリッチと、自民党政調会長だった岸田文雄の会談に同席した。だが首相になった岸田は安倍殺害事件の後、統一教会との関係を追及されるのを恐れて、教団を切り捨てようとしていた。

状況は深刻です。岸田政権の支持率が落ち続けており、政権維持基盤が弱化し、反社会的勢力と呼ばれている私たちの団体との関係断絶について国民への説明責任が強く要求される中で、岸田政権と茂木幹事長が政府と与党を代表してそれぞれ立場表明をすることになりました。

元々自民党本部との公式的な関係というよりは、議員たち個々人とのつながりであり、安倍首相以降、派閥のトップとの関係に集中したのですが、自民党本部と話す公式な窓口がないのが現実です。

 

彼らは実際、関係断絶を議員たちに強要しています。自民党内部の権力構図の変化事情もあって、安倍派の議員たちが声を上げるのが難しい状況があり、国民世論をめぐって関係を結んできた議員たちも、しばらくの間は私たちと距離を置くしかない状況です。

徳野は2022年12月30日には、政府が裁判所に統一教会の解散命令を請求することを予期する。

福本弁護士の見解によれば、純粋な法律論としては明らかに政府側は信仰の自由を侵害する憲法違反という壇上にいる。

私たちは必ず勝てる。もし裁判所に解散命令が請求されても、最終的には最高裁判所で私たちが勝つ可能性がある、ということです。

 

しかし、予断を許さないのは、過去に多くの大物政治家の裁判結果からわかるように、最後は純粋な法律論で決まるのではなく、残念ながら世論の動向に、政府は言わずもがな、法務局も影響を受け、さらには裁判所までその判決に影響を与えることがあるということです。

この窮地をどう打開すればいいのか。徳野は安倍をも動かした、自民党政治家への常套手段を提案する。

私自身の印象であり提案ですが、この裁判の動向、または岸田首相の最終的な政権決断に影響を与えるためには、やはりアメリカからの援護射撃が有効ではないかと思います。

 

ギングリッチ元下院議長や、ポンペオ元国防長官、または新しい下院議長になるマッカーシー下院院内代表などが日本政府または自民党議員に圧力を加えることが、岸田政権へのある大きな影響になると思います。どうか積極的に進行してくださることを期待いたします。

(韓日翻訳:姜旼宙)

(敬称略)

「TM特別報告書」を報じるにあたって

TM特別報告書に関し、統一教会は反論し、自民党は目を背けています。

統一教会側からは2026年1月16日、世界平和統一家庭連合広報渉外局が「『TM特別報告 』(俗称)に対する当法人の見解」を公表しました。

見解では、TM特別報告書を作成した元世界本部長のユン・ヨンホ(尹煐鎬)氏のもとで活動していたとされる職員のリポートを掲載。TM特別報告書には意図的な省略、書き換え、追記が含まれている可能性が高く、「極めて信憑性に欠ける」と指摘しています。リポートの筆者である職員は匿名で、役職等も記されていません。

また、TM特別報告書に出てくる日本の政治家との関係については、「事実関係を超えて表現が誇張されている、文脈が脚色されている、あるいは事実として確認できない内容が含まれている可能性を否定できません」と書いています。

統一教会側からは、元会長の徳野英治氏もXで2026年1月8日に発信しました。TM特別報告書について、「私が韓総裁に報告するために元世界本部長に送った報告が含まれているのは事実」と自身の報告が含まれていることを認めた上で、「個人的意見や希望的予測なども多く含まれています」などと記しています。

自民党は元総裁の安倍晋三氏が殺害されて2カ月後、2022年9月に統一教会との関係を調査し「党としての組織的な関係はない」と結論を出しました。調査は議員による自己申告で極めて不十分なものでしたが、現総裁の高市早苗氏は、TM特別報告書を検証する意思が今のところは全くありません。2026年1月26日にはTBSの「news23」に出演。れいわ新選組共同代表の大石晃子氏にTM特別報告書に高市氏の名前が出ていることなどを指摘され「出所不明の文書」「名誉毀損になりますよ」とまで言っています。

Tansaは、3212ページある韓国語のTM特別報告書すべてに目を通しました。AIによる分析も活用し、翻訳者、取材パートナーである韓国の探査報道組織「ニュースタパ」と共に検証しました。

統一教会に関しては、ジャーナリストや研究者、被害者対策に取り組んだ弁護士や宗教家による膨大な調査結果が蓄積されています。Tansaは先達の仕事に敬意を払い、その成果も活用させていただきながら、TM特別報告書を検証しました。

その結果、統一教会と自民党の長年にわたる共依存を解き明かす上で、TM特別報告書は極めて重要な資料であると判断しています。

TM特別報告書について報じながら、取材を続けます。統一教会と自民党の癒着について、明かされていない内部情報をお持ちの方は、ぜひTansaまでお寄せください。責任を持って情報源を秘匿し、お守りします。

情報提供にあたっては、以下のページをご参照ください。連絡方法や注意点、公益通報者保護法のポイントを掲載しています。

https://tansajp.org/whistleblower/

統一教会は2015年に「世界平和統一家庭連合」と名称変更し、マスコミ各社は「旧統一教会」と呼称しています。しかし、教団がはらむ問題には連続性があるため、Tansaは「統一教会」と表記します。

 

2026年1月27日

Tokyo Investigative Newsroom Tansa

FacebookTwitterEmailHatenaLineBluesky
TM特別報告書一覧へ