編集長コラム

岸田首相からTansaに届いた文書(125)

2024年08月24日17時00分 渡辺周

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「守るべきものは守り、変えるべき時は躊躇しない」

この言葉が自民党から発せられていると思う人が、どれだけいるだろうか。総裁選のPR動画の中で出てくる。

自民党は裏金問題で所属議員が捜査を受けた。それを契機とした政治資金規正法の改正は、アリバイづくりの域を越えない。正確には「守るべきものは守らず、変えるべき時は躊躇する」だろう。

いくらPR用の動画とはいえ、嘘をつけばさらに信用を失う。党内で「こんなの出したら恥ずかしいぞ」と指摘する人はいなかったのだろうか。それとも、この動画で国民に好印象を与えられると思っているのだろうか。

自民党は、あまりに国民を愚弄している。

岸田文雄首相は6月25日、私に対して、以下のような内容を記した文書を送ってきた。

安倍晋三元首相の国葬を、内閣の大臣たちによる閣議決定だけで実施しても問題ないか。官邸側は「法の番人」と言われる内閣法制局と協議した。しかし、協議を記録した文書は廃棄したか、そもそも作成していないので持っていない・・・。

私は官邸側に2022年9月26日、官邸側と内閣法制局との協議記録について情報公開請求をした。岸田首相が記者会見で、国葬を実施するにあたっては内閣法制局と「しっかり調整した」と語ったからだ。国会でも同様の答弁をしている。

だが協議を記録した文書は、未作成か廃棄で「不存在」。岸田首相は内閣法制局と「しっかり調整した」と言っている。記録を取っていないとか、捨てたということはあり得ない。私はそんなのはおかしいということで、審査を請求した。だが判断は覆らなかった。岸田首相名で6月26日に私に送られてきた文書は、そのことを知らせる「裁決書」というものだ。

国葬について協議した文書について、私が「ないはずがない」と言うのは、公文書管理法という法律があることも大きい。

第四条では、行政機関の意思決定について、経緯と過程を文書にすることが義務付けられている。後で検証できるようにするためだ。

第六条は文書の保存義務を定めている。規則では、今回のような閣議決定を伴う文書の保存期限は30年だ。

つまり、文書について「作成していないか、捨てた」という主張は、「公文書管理法違反です」と自ら言っているのと同じことなのだ。「いやいや、公文書管理法違反はありません、文書は作成して保存していました」と主張をひるがえせば、今度は情報公開法違反ということになる。

国論を二分した国葬の実施プロセスについてすら、「記録が残っていない」という決定を首相名で出してくる。国家運営の体をなしていない。自民党は総裁選に興じている場合ではないだろう。

この10年あまり、酷すぎる政治の積み重ねで、国民の怒りの沸点が下がっていると感じる。「追認馴れ」してしまっているのではないか。

Tansaは、岸田首相が「国葬文書不存在」の裁決書を送ってきたことに対し、対抗措置を取る。

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