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参政党とは? 神谷宗幣氏、さや氏の過去発言、憲法草案にみる極右思想

2025年09月12日 16時29分  Tansa編集部

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2025年参院選の最終演説会で熱弁を振るう、参政党の神谷宗幣代表=東京都港区で2025年7月19日、千金良航太郎撮影

2025年7月20日投開票の参議院選挙で、それまで1議席だった参政党が14議席を獲得し躍進しました。比例代表の得票数は742万5053票。これは自民党、国民民主党に続く3位の得票数です。

参政党は2020年に現代表の神谷宗幣氏らが結党しました。有機農業の推進をはじめとする食の安全や教育政策など、親しみやすい主張を前面に打ち出し、コロナ禍では反ワクチンを訴えることで、既存政党に不満を持つ層の支持を獲得しました。2022年の参院選では比例区で176万票を獲得し神谷氏が当選。国政進出を果たしました。

市井の人を安心させるような主張の一方で、代表の神谷氏をはじめとする参政党の所属議員は、過去に日本の侵略戦争を肯定したり、外国人や性的マイノリティーを差別したりするような発言を繰り返していました。

親しみやすいキャンペーンはあくまでも選挙用の顔で、過去の発言にこそ、参政党の本性が表れているのではないか――。

私たちはこのように考え、党首である神谷氏の議会質問、書籍、ブログ、YouTube、インタビューなどでの発言を過去19年にわたって精査しました。

記事はこちら<参政党・神谷宗幣代表の過去19年間の発言を総ざらい 議会質問、書籍、ブログ、YouTube、雑誌 差別や戦争助長する発言の数々

神谷宗幣氏の過去の発言

⚫︎国際的に見て人道的だった日本軍は世界各地で殺戮を繰り返した悪虐な集団と見なされるようになり、欧米国家によるアジア各国に対する支配体制を打破した大東亜戦争は、無謀な侵略行為だったという認識が日本人に刷り込まれました。(『参政党ドリル』2024年、青林堂)

⚫︎国民に戦う意思がなければ、仮に日本が核武装しても、発射スイッチをもつことになる総理大臣は世論を気にするのでスイッチを押すことができない。いくら核武装しても抑止力にならないのです。(「月刊WiLL」2022年8月号、WAC)

⚫︎日本が受け入れる移民は、日本を愛し、皇統を尊び、日本文化を継承するなど、日本人として国を支えていく意志がある者に限定して、試験などを課していく必要があります。(『参政党ドリル』2024年、青林堂)

⚫︎ここで疑問に思うことは、果たして子どもを預けて働きに出る女性は、母親と幼児のかかわりの大切さを認識しているのであろうかということと、子どもを預けてでも女性が働く動機を行政が把握しているかということです。(2008年9月12日、吹田市議会)

⚫︎晩婚化の流れも食い止める必要があります。そのためには思春期の若者が異性に対する興味を削ぐようなLGBTQに関する過度な教育はやめるべきです。(『参政党ドリル』2024年、青林堂)

⚫︎これはやはり日本人の男子には、短期でもいいので、命の危険を感じるような合宿訓練でもするべきですね。(2014年10月19日、神谷宗幣氏オフィシャルウェブサイト「戦いたい! 海外の戦場へ向かう日本人」)

根拠不明な陰謀論に基づく発言もみられました。

⚫︎「ジェンダーフリー」「LGBTQ」「グリーントランスフォーメーション」「SDGs」「ダイバーシティ」といった価値観こそが、グローバル・スタンダードだと学校でも教えられますが、こうした価値観の背景には、しっかりした科学的根拠などほとんどありません。そもそも、ジェンダーフリーやLGBTQなどは、共産主義者が敵対する国を内部から崩壊させるために悪用している思想戦の一つです。(『参政党ドリル』2024年、青林堂)

⚫︎明治維新以降、およそ80年間頑張って戦ってきた日本は罠にはめられて大東亜戦争に突入したのです。はめられた日本は壊滅的な被害を受けました。日本を傘下に置くというのは、欧米側からすればコロンブスやザビエルの時代以来の悲願であったわけです。(『国民の眠りを覚ます「参政党」』2022年、青林堂ビジュアル)

2025年の参院選で参政党は「日本人ファースト」と「消費税廃止」に力点を置き、庶民の暮らしを豊かにすることを訴えました。神谷氏が過去に繰り返していたような発言は鳴りを潜めました。「選挙に不利」と考えたのかもしれません。

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塩入清香(さや)氏の過去の発言

JR四ツ谷駅前で街頭演説する塩入清香(さや氏)。聴衆には参政党に反対する人たちも目立った=2025年7月18日、東京都新宿区で千金良航太郎撮影

東京選挙区では参政党新人の塩入清香(さや)氏がトップ当選を果たしました。街頭演説では消費税廃止に力点を置いていましたが、過去には徴兵制を肯定するような発言や、働く女性を差別するような発言をしていました。

記事はこちら<東京選挙区で優勢、さや氏の本音は? 「兵役は教育的な役割」働く母の顔に「子どもは接したくない」

⚫︎学校教育の中では教えられないことが兵役の中では教えることができる、体験することができる。教育でできない補完的な部分というか、日本だったら益荒男(ますらお)に手弱女(たおやめ)があるように、益荒男の部分を体感することができるっていうので兵役は教育的な役割があるなと思う。(中略)国の独立を真に願う、願うというか、真に実現しようとするいわゆる政治家なり、官僚もそうだし国民全体の意識が高まらない限りは、なかなか難しいだろうなっていう気はしてます。ただそれを意識をガラッと変える方法としては核武装っていうのも一つあるのかなという気もしているのでこれはどんどん議論していきたいんですけれども(2023年7月13日、YouTube「【三姉妹】大人の道徳で「徴兵制」を考える」)

⚫︎「夫婦別姓」を推進する方々の考え方の根底には、「親子」特に「母子」引き離しがある事。だからこそ止めなくてはならないと強く思います。(2025年3月1日、X)

⚫︎(ワーキングマザーに関して)誰もね、仮面をつけた母親と接したいなんて子どもは思わないですもんね。本当のお母さんの顔。(2025年7月15日、YouTube「【「ワーキングマザー」の短歌集】自分のためだけに、存在してほしいと、子どもは望む。」)

⚫︎自分たちの防衛力、自国のためにどれだけ活用できる、まぁ、兵器があるのかっていうのを考えた時に、あの北朝鮮ですらも核兵器を保有するとですね、一応国際社会の中でトランプ大統領と話ができるくらいまでには行くわけですよね。 あの、交渉ができるという。そういう状況まで行くということを考えると核武装が最も安上がりであり、最も、まぁ、安全を強化する策の1つだとは考えてます。(2025年7月3日、YouTube「【参院選ライブ】参政党 さや/社民党 西美友加/日本保守党 小坂英二【投票誰にする会議~参院選2025東京選挙区~】」)

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参政党「創憲案」の危険性 権利や自由が大幅削除

参政党がウェブサイトで公開した「新日本憲法(構想案)」=参政党のウェブサイトから

参院選を間近に控えた2025年5月、参政党は日本国憲法の「創憲案」を発表しました。党のウェブサイトによると、全国の党員と共に2年がかりで議論を重ねてきたといいます。

しかしその内容は、現在の憲法で保障されている基本的な人権や自由が大幅に制限されるものでした。

解説記事はこちら<消えた「法の下の平等」「思想の自由」、 盛り込まれた「神話教育」「軍事裁判」 参政党憲法案の危険性

憲法は本来、権力の暴走を防ぐために国民が国家に対し守らせる約束です。参政党の憲法案は国民に課す義務に重点が置かれており、近代的な憲法の体を成していません。

以下は参政党の創憲案では保障されない主な権利・自由です。

「法の下の平等」(現憲法14条)がなければ人種や性別などでの差別が許容されかねません。

「居住、移転、職業選択、外国移住及び国籍離脱の自由」(同22条)がなければ、住む場所や職業を自由に選ぶことができなくなるかもしれません。

同18条にある「奴隷的拘束及び苦役からの自由」もありません。国家が国民を強制的に働かせたり、徴兵したりすることが可能になります。

「思想・良心の自由」(同19条)、「表現の自由」(同21条)の保障もありません。特定の考えを持っているからという理由で逮捕されたり、政府に都合の悪い報道や集会は取り締まられたりする恐れがあります。

代わりに、新たに追加される義務が多くあります。

例えば十六条2には「報道機関は、偏ることなく、国の政策につき、公正に報道する義務を負う」とあります。戦前の検閲体制や「大本営発表」のように、国の意向に従う報道以外を認めない可能性があります。

他には、「教育勅語など歴代の詔勅、愛国心、食と健康、地域の祭祀や偉人、伝統行事は、教育において尊重しなければならない」(九条4)と、戦前に逆戻りしたような教育方針が書き込まれています。

ナチスドイツが重視した「血統主義」が反映された条文もあります。

⚫︎「国民の要件は、父または母が日本人であり、日本語を母国語とし、日本を大切にする心を有することを基準として、法律で定める」(五条)

⚫︎「外国人の参政権は、これを認めない。帰化した者は、三世代を経ない限り、公務に就くことができない。帰化の条件は、国柄の理解及び公共の安全を基準に、法律で定める」(十九条4)

参政党は現在も改憲を大きく打ち出すことはしていません。消費税廃止や外国人規制といったテーマに力を注いでいます。しかしこの憲法案にこそ、参政党の本質的な思想が表れているのではないでしょうか。

それでも参政党を選びますか

Tansaは、参院選期間中の2025年7月17日、参政党の台頭に反対する宣言を出しました。

宣言はこちら<Tansaは報道機関として参政党に反対します 基本的人権と民主主義を守るため宣言します

参政党は「日本人ファースト」を掲げています。神谷氏が編著の『参政党ドリル』(青林堂)には、こんな記述があります。

「祖先から子孫へと受け継がれていく日本人としての血統を大事にするべきである」

血統を重んじる政治家は、過去にもいました。ナチスのアドルフ・ヒトラーです。ヒトラーはゲルマン民族の血統が守られないことが、諸悪の根源だと考えていました。

またヒトラーは、第一次世界大戦での敗戦原因を、ユダヤ人が裏で糸を引く国際資本に求めるなど、陰謀論に傾倒しました。

参政党の神谷氏も、日本は罠にはめられて「大東亜戦争」に突入したと語るなど、同じく陰謀論で歴史を語っています。

その他にも両者は、「母親は家庭で子育てに専念するべき」といった主張や、性的マイノリティーへの侮蔑など様々な共通点があります。

当初は過激な弱小政党だったナチスは、社会の不満の受け皿となって急伸しました。あの時のドイツ社会と、今の日本社会は似ています。

ここで食い止めなければ、多くの犠牲者を出した歴史を繰り返しかねません。

Tansaの決意

「報道機関は政治的に中立であるべきだ」という考えもあります。

しかしジャーナリズムの役割は、権力の暴走を止め、市民の人権と民主主義社会を守ることです。「中立」を理由に、基本的人権を否定する権力を見過ごすことは、報道機関としての職務放棄を意味すると、私たちは考えます。

私たちの決意はこちらの記事をご覧ください。<参政党躍進 日本社会の「ナチス化」を止めるため、立場・職種を超えた連帯を

終戦から80年の8月15日には、参政党が「英雄」と称える特攻隊員について、当人たちの手記や証言から、その言説の浅はかさを指摘する記事を公開しました。

「特攻隊員は英雄」「次に戦うのは私たち」超国家主義に向かう日本社会へ/特攻隊員が書き遺した「恐ろしき哉、浅ましき哉」

今後は侵略地・植民地での加害など、さまざまな側面からこの国の戦争を検証し、歴史修正主義的な主張を掲げる参政党に対抗していきます。

本記事は2025年7月から配信しているシリーズ「それでも参政党を選びますか」の抜粋です。私たちの報道を応援してくださる方は上部の「サポーターになる」ページからサポーター登録をお願い致します。

シリーズ「それでも参政党を選びますか」の記事

・Tansaは報道機関として参政党に反対します 基本的人権と民主主義を守るため宣言します(7月17日)

・参政党・神谷宗幣代表の過去19年間の発言を総ざらい 議会質問、書籍、ブログ、YouTube、雑誌 差別や戦争助長する発言の数々(7月17日)

・消えた「法の下の平等」「思想の自由」、 盛り込まれた「神話教育」「軍事裁判」 参政党憲法案の危険性(7月18日)

・東京選挙区で優勢、さや氏の本音は? 「兵役は教育的な役割」働く母の顔に「子どもは接したくない」(7月19日)

選挙最終日に2万人が陶酔 参政党支持者へ私たちが伝えたいこと(7月19日)

・参政党躍進 日本社会の「ナチス化」を止めるため、立場・職種を超えた連帯を(7月25日)

・「特攻隊員は英雄」「次に戦うのは私たち」超国家主義に向かう日本社会へ/特攻隊員が書き遺した「恐ろしき哉、浅ましき哉」(8月15日)

記事は英語サイトでも発信しています。

YouTubeでも解説しています

YouTube番組「デモクラシータイムス」で、参政党への反対宣言や取材について解説しています。

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