TM特別報告書

「安倍首相への大きなアピールに」 統一教会が沖縄県知事選・名護市長選で「命をかけた電話」 辺野古への米軍基地移設を後押し(2)

2026年01月28日 14時16分  Tansa編集部

埋め立てが続く辺野古=沖縄県名護市で2025年2月8日、中川七海撮影

第2次安倍政権を2012年にスタートさせて以来、安倍晋三は長期政権に向けての基盤を固めていく。

だが、難題があった。沖縄の米軍基地問題だ。

日米両政府は1996年、米軍の普天間飛行場(宜野湾市)を返還することで合意。名護市の辺野古に移設する案が浮上したが、沖縄県民の反対で頓挫していた。米国に付き従う安倍にとって、悩みの種だった。

統一教会は、この状況を安倍に取り入るチャンスとみた。

2018年の名護市長選で、自民が推す候補を統一教会を挙げて支援した。辺野古での基地建設に反対する現職の市長を倒すためだ。支援した候補者は、当選した。

統一教会の幹部は「TM特別報告」の中で述べている。

「自民党政権からも感謝の連絡があった。安倍首相への大きなアピールになった」 

安倍晋三「統一教会はしつこい」

安倍晋三の祖父、岸信介は統一教会を支援した。教団本部が、岸の私邸があった場所に置かれたほどだ。晋三が幼い頃、祖父とたわむれた場所でもある。

晋三の父、晋太郎も統一教会と近い関係にあった。1974年5月7日、教祖であるムン・ソンミョン(文鮮明)が帝国ホテルで開いた「希望の日晩餐会」には、名誉実行委員長を務めた岸と共に出席している。

だが晋三は当初、統一教会と距離を置いた。

統一教会を1980年代から取材している有田芳生は、日本テレビ系の「ザ・ワイド」で晋三と共演した時のことを覚えている。晋三はまだ、自民党の幹事長(2003年~2004年)だった。

CMに入った時、有田が隣に座っていた晋三に聞いた。

「統一教会が接近してくることはありませんか」

晋三が言う。

「しょっちゅうですよ。しつこいんです」

有田がさらに尋ねる。

「お会いになるんですか」

晋三は笑いながら言った。

「会いませんよ」

自民党が大きく依存する状況に」

安倍晋三にどうやって取り入るかは、統一教会の課題だった。

そこへ2018年、沖縄で名護市長選があった。現職は稲嶺進。辺野古への米軍基地移設に反対していた。対立候補の渡具知武豊は、自民党、公明党、日本維新の会が推薦した。

統一教会は、渡具知の支援に乗り出す。安倍政権を援護し、恩を売るためだ。安倍は前年、ワシントンでの日米首脳会談で、大統領のドナルド・トランプと共に「辺野古への移設が唯一の解決策」という声明を出していた。

渡具知が2万389票で当選した。稲嶺は1万6931票、約3500票の大差がついた。

投開票があった2月4日、統一教会会長の徳野英治が「TM特別報告」で経緯を説明している。

本日沖縄で名護市市長選挙があり、自民党の公認を受けた渡具知武豊候補者が進歩勢力の現市長を破り、当選しました。

 

名護市は沖縄米軍基地移転候補地である辺野古地域があるところで、進歩市長が過去8年にわたって米軍基地移転を止めるために、基地負担支援金を政府から受け取ることを拒否するなど、政府の立場を難しくしてきました。

 

自民党本部はこの間、現地の住民たちの気持ちを動かせずに苦心していましたが、私たちが提案し進行した署名運動とパンフレット配布、電話作戦に期待し、この選挙に勝つために私たちに大きく依存する状況になっています。

そして徳野は、統一教会を挙げて選挙を支援した結果、「政府と自民党本部に存在感を示すことができた」、「無視できない団体だということを強く認識させた」と誇る。

私たちは沖縄出身者を中心に、勝共連合とUPF本部から本部職員たちを現地に派遣し、九州地方のCARPと青年学生たち、そして現地の青年信者たちと共に、2週間にわたり名護市現地で5000超の署名をもらい、署名者たちに電話で説得する活動を展開し、今日その結果が勝利となって現れました。

 

これは自民党本部が今年行われる沖縄県知事選挙と、沖縄県の県庁所在地である那覇市長選挙でも私たちに大きく依存するしかない立場だということを、認識させるのに決定的な役割を果たします。

 

もちろん新市長は信者ではありませんが、日本政府と自民党本部に私たちの存在感を示すのに大きな役割を果たしたと評価でき、無視できない団体だという認識を強くさせることにより、私たちの組織防衛という観点からも非常に重要な起点になったと思います。

 

沖縄教区長は韓国人の牧会者ですが、この選挙戦の意味を深く理解し先頭に立って信者たちをうまく指導し、今回の選挙勝利に大きく貢献しました。国家復帰という大きなゴールの前では至極小さい勝利ですが、必ず大きな一歩になると思います。

さらに、「安倍首相への大きなアピールになった」とも述べて、「真の父母様」であるムン・ソンミョン(文鮮明)と、ハン・ハクチャ(韓鶴子)に感謝する。

沖縄県は知事が共産党系で、背後では中国共産党が多くの支援をしています。沖縄にある米軍基地問題について、この沖縄知事は反対しており、今回名護市には重要な米軍基地が建設されようとしていますが、その基地建設について現職の革新系市長が沖縄知事と一緒になって、知事の助けを借りながら強く反対していました。

 

そのようななかで、私たちが応援した自民党系候補者が選挙に勝利したため、中国共産党および日本共産党をはじめとしたサタン側の攻撃に対する大きな防御になったと考えます。

 

自民党政権から今回の選挙をよく手伝ってくれたと、感謝の連絡が来ました。安倍首相への大きなアピールになったと考えます。

 

この選挙の勝利もやはり、天の父母様と真の父母様の導きとご加護のおかげだと実感し、感謝いたします。

「オール沖縄」の翁長知事が死去して

名護市長選から半年後、2018年8月8日に沖縄県知事の翁長雄志が死去した。67歳だった。

翁長は元々、自民党の沖縄県連幹事長を務めていた。しかし、米軍基地を辺野古に建設することには断固として反対した。

国土の1%に満たない沖縄に、米軍専用施設の70%以上が集中している。翁長には「なぜ沖縄だけがこれほどの重荷を押し付けられるのか」という強い思いがあった。2018年の名護市長選でも、連日名護市に赴いて、基地に反対する現職候補の稲嶺進を応援した。

翁長は、保守や革新といったイデオロギーの垣根を越え、「オール沖縄」を掲げた。安倍政権にとっては、やっかいな存在だった。

翁長の死去に伴う知事選は、9月に実施されることになった。「オール沖縄」が推す前衆院議員の玉城デニーと、安倍政権が丸抱えする前宜野湾市長の佐喜真淳の対決となった。

統一教会は、名護市長選に続き、知事選でも自民党に助け舟を出すことにした。

以下は2018年9月4日、徳野英治によるTM特別報告の内容だ。まず翁長が死去した後の情勢を分析する。

これまでの沖縄県知事は、日本共産党と完全に一体化しており、また中国と非常に近かったため、中国の傀儡政権とまで言われた翁長という知事でした。その共産党系の現役知事が、癌で突然8月に死亡しました。

 

そこで沖縄には天の側の県知事が生まれ、日米韓が一体化し、この3カ国が一体化されるなかで沖縄が行くべき道に向かって、軌道を修正するだろうと信じ、期待しております。

 

しかし、死亡したその知事の後継者である左翼国会議員が立候補しました。さらには沖縄全体が、死んだ翁長知事に同情するムードになっており、天の側の私たちと自民党、公明党(創価学会)が応援する候補者は苦戦しています。現在、支持率の状況は左翼の候補者が、私たちの候補者の約2倍の支持率を得ています。

次に徳野は、劣勢を跳ね返すため、東京と沖縄の統一教会が一体となり選挙支援に臨むと語る。梶栗とは、統一教会の政治工作組織である「国際勝共連合」の会長、梶栗正義のことだ。

そのような状況を挽回しなければならないため、私は韓国での行事が終わり次第、沖縄へ直行しました。後日、梶栗議長も東京から駆けつけ、一緒に沖縄での現場の地区長、教区長、また交渉担当者と作戦会議をしました。

 

日本本土からも約50名の青年活動部隊を投入し、また沖縄県出身の信者たち、沖縄に住んでいる婦人信者たちの命を懸けた電話を通じて現時点で選挙の劣勢を挽回し、9月30日の沖縄県知事選挙の投票日には私たちと自民党、公明党(創価学会)が応援する候補者が当選するよう、闘ってまいります。

徳野は沖縄での創価学会票についても分析している。

創価学会の信者によりつくられた公明党は、沖縄に約5万票を持っているようです。その公明党も6000名の活動部隊を日本全国から沖縄へ投入し、今回の選挙戦に決死的な体制で臨む予定です。

 

したがって、私たち天の側の佐喜真という知事候補者を、自民党と公明党(創価学会)と家庭連合が全面的に応援し、日本共産党をはじめとした左翼勢力が、完全に一つになって応援している左翼国会議員との決戦に臨みます。

 

私は沖縄へ行き選挙作戦会議にあわせて、新規ゲストを中心としたファミリー講演会のメインスピーチを行い、また内部の信者たちの9月度出発式も行い、そして今回祝福を受ける2世・青年メンバーたちの祝賀会にも参加し、沖縄の信者たちに真の父母様の代理人として、愛と心情と御言葉を投入いたします。

 

沖縄の闘いの結果については随時報告いたします。また、今回の沖縄訪問写真を数枚添付します。見て下さると嬉しいです。

安倍は名護市長選の投開票日の翌朝、官邸で記者団に対して言った。

「強いと言われていた現職市長で、破るのは難しいと思っていたが、勝って本当に良かった」

長期政権を見越して

2018年9月13日、沖縄県知事選が告示された。

告示を前にした、9月7日の徳野英治によるTM特別報告。同じ9月にある自民党総裁選で、安倍が石破茂に勝つことを見越し、安倍政権が長期となることを意識している。

この前も報告しましたが、今沖縄で熱い選挙の闘いが始まっています。梶栗会長の報告によれば自民党本部は現在、9月20日の自民党総裁選挙と9月30日の沖縄県知事選挙にだけ集中しているようです。

 

自民党総裁選挙は、安倍首相が3期目の総裁をかけて、現在自民党のなかで実力のある石破という議員と一対一の対決を行っています。現時点では、安倍首相が自民党総裁選挙で3期目の当選をすることが確実とされています。

 

したがって、安倍首相は2021年まで日本の首相を務めることになります。つまり、日本でこれまで一番長い在任期間を持つ首相となります。これは中曽根首相、小泉首相を超える新記録です。

沖縄県知事選については、自民党が推す佐喜真が、統一教会の講演に何度も来たと言って「アベル的な人物」と評している。アベルとは、旧約聖書に出てくるアダムとエバの次男であり、誠実で信心深いとされている。

そして、沖縄県知事選挙はまさしく天とサタンとの闘いであります。8月に亡くなった日本共産党と完全に一つになった左翼の翁長前知事の後継者が玉城デニーという、米軍男性と沖縄の女性の間に生まれたハーフの革新系議員です。

 

また、もう一人の候補者は、今まで沖縄の宜野湾市長を務めていた、自民党と私たちが応援している佐喜真という人物です。佐喜真氏は私たちの教会の講演会にも今まで何度も参加し、私たちの講演も最後まで聞いてくれたアベル的な人物です。そのような2名の候補者たちによる一対一の選挙戦が展開されています。

「自民党からの正式な依頼」

だが統一教会の願いとは裏腹に、玉城デニーが当選した。玉城は39万6632票、佐喜真淳が31万6458票だった。

投開票から2日後の10月2日、TM特別報告で徳野英治が反省の弁を述べる。

去る9月30日に行われた沖縄知事選挙において、私たちが応援した天の側のアベル陣営・佐喜真淳候補は31万6458票、共産党が応援した玉城デニー候補の得票数は39万6632票で、8万票差で負けました。

 

大型台風の影響で投票率が低かったことが現実的な理由ですが、わずかな差で接戦になるだろうと予想していたため、安易な分析だったと反省しています。

一方で徳野は、自民党本部から選挙結果の分析を正式に依頼されたと言い、統一教会の影響力を誇示した。

自民党本部では今回の沖縄県知事選挙の敗北について、自民党本部としても当然その選挙結果について反省と分析をする予定のようですが、私たちにも今回の沖縄県知事選挙の結果を分析し、自民党本部に必ず報告してほしいという依頼が来ています。

 

このように選挙結果分析を自民党本部から正式に依頼を受けることは初めてです。私たちの団体の応援の影響力は、大きいと考えている証拠だと思います。

(韓日翻訳:姜旼宙)

(敬称略)

主な参考資料

『誰も書かなかった統一教会』(有田芳生著、集英社新書)

「TM特別報告書」を報じるにあたって

TM特別報告書に関し、統一教会は反論し、自民党は目を背けています。

統一教会側からは2026年1月16日、世界平和統一家庭連合広報渉外局が「『TM特別報告 』(俗称)に対する当法人の見解」を公表しました。

見解では、TM特別報告書を作成した元世界本部長のユン・ヨンホ(尹煐鎬)氏のもとで活動していたとされる職員のリポートを掲載。TM特別報告書には意図的な省略、書き換え、追記が含まれている可能性が高く、「極めて信憑性に欠ける」と指摘しています。リポートの筆者である職員は匿名で、役職等も記されていません。

また、TM特別報告書に出てくる日本の政治家との関係については、「事実関係を超えて表現が誇張されている、文脈が脚色されている、あるいは事実として確認できない内容が含まれている可能性を否定できません」と書いています。

統一教会側からは、元会長の徳野英治氏もXで2026年1月8日に発信しました。TM特別報告書について、「私が韓総裁に報告するために元世界本部長に送った報告が含まれているのは事実」と自身の報告が含まれていることを認めた上で、「個人的意見や希望的予測なども多く含まれています」などと記しています。

自民党は元総裁の安倍晋三氏が殺害されて2カ月後、2022年9月に統一教会との関係を調査し「党としての組織的な関係はない」と結論を出しました。調査は議員による自己申告で極めて不十分なものでしたが、現総裁の高市早苗氏は、TM特別報告書を検証する意思が今のところは全くありません。2026年1月26日にはTBSの「news23」に出演。れいわ新選組共同代表の大石晃子氏にTM特別報告書に高市氏の名前が出ていることなどを指摘され「出所不明の文書」「名誉毀損になりますよ」とまで言っています。

Tansaは、3212ページある韓国語のTM特別報告書すべてに目を通しました。AIによる分析も活用し、翻訳者、取材パートナーである韓国の探査報道組織「ニュースタパ」と共に検証しました。

統一教会に関しては、ジャーナリストや研究者、被害者対策に取り組んだ弁護士や宗教家による膨大な調査結果が蓄積されています。Tansaは先達の仕事に敬意を払い、その成果も活用させていただきながら、TM特別報告書を検証しました。

その結果、統一教会と自民党の長年にわたる共依存を解き明かす上で、TM特別報告書は極めて重要な資料であると判断しています。

TM特別報告書について報じながら、取材を続けます。統一教会と自民党の癒着について、明かされていない内部情報をお持ちの方は、ぜひTansaまでお寄せください。責任を持って情報源を秘匿し、お守りします。

情報提供にあたっては、以下のページをご参照ください。連絡方法や注意点、公益通報者保護法のポイントを掲載しています。

https://tansajp.org/whistleblower/

統一教会は2015年に「世界平和統一家庭連合」と名称変更し、マスコミ各社は「旧統一教会」と呼称しています。しかし、教団がはらむ問題には連続性があるため、Tansaは「統一教会」と表記します。

 

2026年1月27日

Tokyo Investigative Newsroom Tansa

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