TM特別報告書

「トランプが出演するなら私も出なければ」 山上徹也が絶望したビデオメッセージに、安倍晋三が出演するまで(12)

2026年02月07日 18時49分  Tansa編集部

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統一教会の関連団体にビデオメッセージを送った安倍晋三氏=YouTubeから

安倍晋三は2021年、統一教会の関連団体に対して、ビデオメッセージを送った。

統一教会はこのメッセージに歓喜した。安倍の祖父の岸信介、父の安倍晋太郎と2代にわたり統一教会は太いパイプを築いたが、安倍だけはなかなか接近できなかったからだ。安倍は統一教会のことを「しつこい」とまで言っていた。

しかし、2018年の沖縄の名護市長選や県知事選、2019年の参院選での支援を経て、安倍との距離を縮めていった。さらにその後も「安倍籠絡」のため策を弄し、ようやく2021年に安倍からビデオメッセージを得ることができた。

2025年11月25日、奈良地裁。山上徹也は、安倍が2021年にビデオメッセージを送った時の感情を弁護人から問われ、こう言った。

「絶望と、危機感だと思う」

「安倍の招待はまだ難しい」

統一教会は2006年から、ワールドサミットというイベントを開いている。世界各国の大物政治家たちを招き、統一教会の力を見せつけるのが狙いだ。

2019年1月10日、統一教会会長の徳野英治は、翌月のワールドサミットに向けて、日本の政治家たちを呼ぶ算段をTM特別報告で語っている。安倍晋三については、「まだ現実的に難しい」と報告した。

私と梶栗UPF議長、そして交渉活動を担当しているコアメンバーが集まり、今回のワールドサミットに具体的に誰を動員できるかという実務的な調整会議を約2時間行いました。

 

明らかに、現時点では現役の安倍首相を招待するのは現実的に難しい状況です。

 

しかし、元首相については最低1名をどのようにしても連れて行かなければならない、そして元大臣(長官)級を最低5名、現役国会議員10名を目標とし、また改めて決議し、目標を再設定するシビアな会議を持ちました。

 

来週から徐々に具体的な結果の実績報告ができると思います。梶栗UPF議長もそのような動員対象のVIPたちに会うためにアポイントメントを取り、毎日走り回っています。私もキーマンになる議員数名と会う予定があります。少しお待ちくださいませ。来週の書信報告でその進展状況を報告いたします。

野田佳彦にもアプローチ

2019年1月16日、徳野はワールドサミットへの日本の政治家の動員状況をTM特別報告で説明する。動員候補として、鳩山由紀夫や野田佳彦ら自民党以外の首相経験者の名前も挙がる。

現時点で日本の元首相として可能性があるのは、鳩山由紀夫元首相です。この人物は自民党ではなく、民主党が2009年から2012年まで政権を取っていた野党時代の最初の首相です。また、ご存知の通り、日本で韓国と中国の立場に立っての発言を多くした、少なくない日本の首相であり、韓国と中国では大変人気があると理解しております。

 

しかし日本国内では鳩山元首相についての評価は賛否両論です。とにかく、鳩山元首相へのアプローチを本格的に始めました。可能性はあります。

 

2番目に可能性のある人は、こちらもやはり自民党ではなく、民主党の首相として現在の安倍首相の直前まで首相をした野田佳彦元首相です。

 

民主党政権の初代鳩山、2代目菅に続いての3代目の首相になった人物です。この野田元首相については選挙区で以前選挙を応援したことがあり、細いパイプですがそのご縁で現在交渉中です。また、まだ約束はしていませんが可能性があります。しかし、この人物は今も現役の国会議員です。

2026年1月27日付の産経新聞でも、野田が2000年から2009年にかけて、国際勝共連合から選挙応援を受けたと報じられている。2026年1月25日のデイリーWiLLでは、2001年に教団関係者たちとの会合に参加していた写真も報じられた。TansaはTM特別報告の記述や、報道されている統一教会との関係について、野田に質問状を送った。野田の事務所からは以下の回答しか返って来なかった。

「お尋ねの件につきましては、選挙期間中でもあり、調査確認することは難しく、お答えできかねます。何卒ご理解の程お願い申し上げます」

安倍「ハン総裁に敬意を表します」

その後も、統一教会は教団のイベントに日本の大物政治家たちを招こうと、動き続けた。

2021年に転機が訪れる。アメリカの前大統領、ドナルド・トランプが9月のイベントにビデオ出演することが決まったのだ。2021年8月20日の徳野によるTM特別報告では、トランプの出演を安倍との交渉材料にしようという意思が表れている。

限りない挑戦によって、ついにトランプ前大統領がスピーカーになるという決定的な実績をつくり、摂理の最も高い峠を越えたという実感を持ちました。

 

トランプ前大統領をスピーカーに立てれば、全世界的にも実績を持った国家元首クラスと交渉しやすくなると確信しております。もちろん、日本でもトランプ前大統領のスピーカー承認という実績は、安倍元首相や他の元首相クラスとのトップ交渉でも貴重な材料として活用できるでしょう。

トランプが出演すれば安倍も承諾する――。

統一教会の予想は的中する。安倍は教団の関連組織「天宙平和連合」(UPF)のイベントにビデオ出演したのだ。

「ハン・ハクチャ(韓鶴子)総裁をはじめ、みなさまに敬意を表します。家庭の価値を強調する点を高く評価します」

「偏った価値観を、社会革命運動として展開する動きに警戒しましょう」

撮影を終えた直後、国際勝共連合会長でUPFジャパンの議長でもあった梶栗正義は高揚する。2021年9月8日、梶栗によるTM特別報告。

お母様

 

昨日、来る第7回希望前進大会のための安倍晋三総理大臣のスピーチビデオ撮影を、天の限りない保護と導きの下で無事に終わらせることができました。撮影を終わらせ、私自身はまだ実感が湧かず、ずっと夢を見ているような気持ちです。

 

ご存じの通り、安倍首相は昨年まで7年8カ月の日本憲政史上、最長の首相を歴任した日本を代表する政治家です。私はこの日本を代表する政治家である安倍氏を、いつか天の前に大きな貢献をさせるという大きな決心をもって、この間、何度も会う過程を通して深い関係をつくってきましたが、現職でいる間は私たちとの関係が表に出ないように慎重になっていました。

梶栗は、トランプを交渉カードにするよう勧めたのは、統一教会のナンバー2で世界本部長のユン・ヨンホ(尹英鎬)だったと明かす。

8月初めに世界本部主管のビデオ会議後、ユン・ヨンホ本部長が私に電話をくださって、トランプが決まったので、安倍首相にアプローチしてみなさいというお話がありました。

 

私はその瞬間、天がこの時を選んで、安倍首相が働くことをお望みになっていると思い、天の声を聞いたような感覚がしました。詳しい報告は後でお送りしますので、安倍首相がわざわざ私たちの事務所にやってきて、真摯にスピーチビデオ撮影を終えたということを報告いたします。

安倍出演を仲介した萩生田文科大臣

梶栗は2021年9月13日のTM特別報告で、安倍がビデオ出演を承諾した経緯をさらに詳しく説明する。統一教会が安倍との「パイプ役」として重宝していた萩生田光一の名前が出てくる。萩生田は当時、文部科学大臣だった。

去る6月11日、安倍首相と会食の場を持った時、私はワールドサミット2020の成果と、6回の希望前進大会について紹介し、安倍首相がポンぺオ国務長官とペンス副大統領が基調演説をしたことについて大変驚いている様子を見て、これからトランプ大統領が演説するようになれば総理も演説しなければなりませんね、と安倍首相の目を見て話すと、首相もやぶさかではないという態度で、そうなればそうしなければなりませんね、と答えました。

 

私は安倍首相の側近である萩生田文科大臣と会って相談し、トランプが演説をすることになった事実と出演要請を安倍首相に伝えてほしいとお願いしました。

 

数日後の8月24日、つまり聖火節の日の夕方、萩生田大臣から連絡が来て、安倍首相がトランプが決定されたのなら私も一緒に出演して韓総裁を手伝い、大会を盛り上げる役割をしないといけませんね、と話したと伝えてくれました。

梶栗正義の父、梶栗玄太郎も国際勝共連合のトップを務めた。正義は父のことにも言及し、統一教会が岸信介、安倍晋太郎、安倍晋三と3代にわたる自民党政治家と関係を築いてきたことに感じ入る。

玄関で首相を見送りながら、私は久保木会長と私の父が、私と共に頭を下げているように感じて、そして岸首相と安倍晋太郎幹事長が、私に頭を下げて感謝の挨拶をしているのを感じました。そして、父が笑っている姿が目に浮かびました。

 

お母様、今回の仕事は霊界が共にあることを本当に実感する事件でした。まず、ユン本部長は夢の中で天が見せてくれたので、必ず成就すると背中を押してくださり、私が誰にも言わずに仕事を進めていたのにもかかわらず、パン会長も夢に安倍首相が出てきたと連絡を下さり、霊界と地上が共にお母様を手伝おうとしていることを現実に見せてくれる天の摂理だったようです。

だが梶栗が喜びに浸っている頃、山上徹也は絶望の淵にいた。

(韓日翻訳:姜旼宙)

(敬称略)

「TM特別報告書」を報じるにあたって

TM特別報告書に関し、統一教会は反論し、自民党は目を背けています。

統一教会側からは2026年1月16日、世界平和統一家庭連合広報渉外局が「『TM特別報告 』(俗称)に対する当法人の見解」を公表しました。

見解では、TM特別報告書を作成した元世界本部長のユン・ヨンホ(尹煐鎬)氏のもとで活動していたとされる職員のリポートを掲載。TM特別報告書には意図的な省略、書き換え、追記が含まれている可能性が高く、「極めて信憑性に欠ける」と指摘しています。リポートの筆者である職員は匿名で、役職等も記されていません。

また、TM特別報告書に出てくる日本の政治家との関係については、「事実関係を超えて表現が誇張されている、文脈が脚色されている、あるいは事実として確認できない内容が含まれている可能性を否定できません」と書いています。

統一教会側からは、元会長の徳野英治氏もXで2026年1月8日に発信しました。TM特別報告書について、「私が韓総裁に報告するために元世界本部長に送った報告が含まれているのは事実」と自身の報告が含まれていることを認めた上で、「個人的意見や希望的予測なども多く含まれています」などと記しています。

自民党は元総裁の安倍晋三氏が殺害されて2カ月後、2022年9月に統一教会との関係を調査し「党としての組織的な関係はない」と結論を出しました。調査は議員による自己申告で極めて不十分なものでしたが、現総裁の高市早苗氏は、TM特別報告書を検証する意思が今のところは全くありません。2026年1月26日にはTBSの「news23」に出演。れいわ新選組共同代表の大石晃子氏にTM特別報告書に高市氏の名前が出ていることなどを指摘され「出所不明の文書」「名誉毀損になりますよ」とまで言っています。

Tansaは、3212ページある韓国語のTM特別報告書すべてに目を通しました。AIによる分析も活用し、翻訳者、取材パートナーである韓国の探査報道組織「ニュースタパ」と共に検証しました。

統一教会に関しては、ジャーナリストや研究者、被害者対策に取り組んだ弁護士や宗教家による膨大な調査結果が蓄積されています。Tansaは先達の仕事に敬意を払い、その成果も活用させていただきながら、TM特別報告書を検証しました。

その結果、統一教会と自民党の長年にわたる共依存を解き明かす上で、TM特別報告書は極めて重要な資料であると判断しています。

TM特別報告書について報じながら、取材を続けます。統一教会と自民党の癒着について、明かされていない内部情報をお持ちの方は、ぜひTansaまでお寄せください。責任を持って情報源を秘匿し、お守りします。

情報提供にあたっては、以下のページをご参照ください。連絡方法や注意点、公益通報者保護法のポイントを掲載しています。

https://tansajp.org/whistleblower/

統一教会は2015年に「世界平和統一家庭連合」と名称変更し、マスコミ各社は「旧統一教会」と呼称しています。しかし、教団がはらむ問題には連続性があるため、Tansaは「統一教会」と表記します。

 

2026年1月27日

Tokyo Investigative Newsroom Tansa

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