公害「PFOA」

速報)摂津市民1500人の署名を森山市長に提出/PFOA調査とダイキンの情報公開求めて「PFOA汚染問題を考える会」

2022年04月04日16時41分 中川七海

2022年4月4日、大阪・摂津市民でつくる「PFOA汚染問題を考える会」(代表:間瀬場猛弁護士)が、森山一正市長に1565人の署名と共に要望書を提出した。署名は大半が摂津市民によるもので、同会の谷口武事務局長が摂津市役所で森山市長に手渡した。

要望書では、PFOA汚染の原因がダイキン工業淀川製作所であることを「国、大阪府、そしてダイキン工業自体も認めている」と指摘。その上で、市による環境中のPFOA調査や住民の健康調査を求めた。ダイキンに対しても情報公開と汚染対策を市から求めるよう要請した。

1 別府(べふ)、東別府の地下水及び水路のPFOA濃度調査を行ってください
2 PFOA汚染が判明している地域の土壌、農作物などの調査を行ってください
3 PFOA汚染に不安を持つ市民の血液検査など健康調査を行ってください
4 大阪府とともに国へ土壌・農作物や健康についての指針作成を要請してください
5 ダイキン工業に対し、情報を公開し汚染対策を講じるよう要請してください

摂津市では、京都大の研究チームと環境省による調査の双方で高濃度のPFOAが検出されている。

京大チームの2004年の調査では、ダイキンの工場近くにある安威川(あいがわ)で、世界最高レベルの濃度のPFOAを記録した。2008年にはダイキンの工場から排出される大気を測定し、工場に近い地域ほど大気中のPFOA濃度が高いことを突き止めた。

摂津市民の血液中のPFOAも京大チームは調べている。2008年には女性60人を調べ、平均で非汚染地域の6.5倍の濃度を検出した。2021年には男性9人を調べ、3.5倍〜73倍の濃度を記録した。女性60人は大気、男性9人は地下水で育てた野菜やコメを食べていたことが曝露の原因とみている。

環境省も2020年と2021年の2度にわたり、全国の地下水や河川の調査を実施。その結果、2020年は摂津市内の地下水が全国1位を記録した。2021年は淀川を挟み摂津市の対岸にある大阪市東淀川区の地下水が、全国1位になった。いずれも、その年の調査で最もダイキンの工場に近い測定地点だった。

こうした状況を受け、「PFOA汚染問題を考える会」が2022年1月30日に結成。会のメンバーが、住民宅を一軒一軒回ったり、自治会長に呼びかけたりして署名を集めた。

2カ月間で集まった署名は1565筆。そのほとんどが、摂津市民だ。市の人口は約8万7000人で、市民の約55人に1人が署名したことになる。ダイキンの工場の北側に隣接する別府・東別府の住民の署名が目立ったが、千里丘や鳥飼(とりかい)など、市内各地から署名が寄せられた。

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