衆院予算委員会が12月5日に開かれた。石破茂首相の言葉を伝える記事を読んでいて、思わず目を疑った。
「企業団体献金は、憲法21条の表現の自由に基づく」
企業・団体献金について、立憲民主の野田佳彦代表から「政官業の癒着の象徴」と指摘されての答弁だ。
献金と表現の自由に何の関係があるのか。ちょっと意味がわからない。だが翌6日の参院予算委員会でも、石破首相は同様の答弁をした。
「社会のあり方について自分たちの意見を述べることは憲法21条が保障する表現の自由に基づくものだ」
企業や業界団体が、自分たちの意見を表明することはもちろん自由だ。しかし、その際に多額の献金が伴うことを問うているのだ。問題のすり替えだ。
石破首相は「献金で政策がゆがめられた記憶を持っていない」とも述べた。
ならばTansaのシリーズ「自民支えた企業の半世紀」を読んでほしい。
日本は「国民主権」ではなく、「財界主権」ではないのか。大企業が儲かっても非正規雇用が増え、働く人が困窮する。法人税率は引き下げられても、消費税は増税・・・。結局、常に大企業にとって有利な状況が出現する。力の源泉は自民党への献金だ。半世紀に渡る献金データを元に、自民党と大企業との「共依存」を解き明かす。
このシリーズの取材をしていて驚いたのは、経団連側は献金を通じて政策に影響を与える意思を、公然と表明していることだ。
例えば2004年、経団連評議員会副議長で、第一生命保険会長の櫻井孝頴氏は次のように言っている。経団連が政党の政策を評価し、それに基づいて会員企業に献金をさせる仕組みを取り入れたことを受けた発言だ。
「経済団体が初めて一種のマニフェストを出して、そのとおりやってくれるかどうかをきちっと見て、それを評価しますと言っているわけですから、われわれも言い放し聞き放しというわけにはいかない。プラン、ドゥ、シー、サポートという繰り返しをやることによって、われわれ自身の政策に対する感度のブラッシュアップが行われていきます」
Tansaが2017年に創刊したとき、寄付者からこんな言葉を贈られた。
「本当のことを知るためのひとつの手段として応援します。できる限りのことを、庶民の視点から調査報道してください。選ばれた少数の人たちのためではなく、サイレント・マジョリティーのために。そして、背筋を伸ばして呼吸ができる未来のために」
Tansaは「自民支えた企業の半世紀」の取材を継続している。サイレントマジョリティーの人たちにも、ぜひ声をあげてほしい。今が怒りどきだと思う。表現の自由は、「選ばれた少数」だけのためにあるのではない。

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