自民支えた企業の半世紀

コロナ禍のもと繰り返された非正規切り/自民が派遣法改正「骨抜き」の末に【非正規4割時代-5】

2024年10月04日 13時21分  渡辺周

FacebookTwitterEmailHatenaLineBluesky

2008年のリーマンショックでは、「派遣切り」が横行した。トヨタ自動車の奥田碩氏が経団連の会長を務めていた2004年、製造業への派遣労働が解禁されたことが響いた。

2009年に誕生した民主党政権は、翌年に労働者派遣法の改正法案を提出する。製造業への派遣と登録型派遣の禁止が目玉だ。登録型派遣とは、派遣会社に登録しておいて、派遣先で仕事がある時だけ雇用されるというものだ。

献金額トップ3は経団連会長輩出のメーカー

だが野党となった自民党の反対に遭う。2012年に成立した法改正では、製造業への派遣と登録型派遣の禁止が抜け落ちた。

自民党が反対した理屈とはどういうものなのか。2012年3月27日の参院労働委員会で、衛藤晟一氏が述べている。

「製造メーカーに対するアンケート調査の結果によりますと、約7割のメーカーが製造業への労働者派遣の禁止により失業者が増加すると回答し、国内の製造業が衰退すると回答したメーカーが約6割、それから産業の空洞化が加速すると回答したメーカーが約5割います。特に中小企業では、人材確保に困難を来し、生産レベルの縮小や倒産に至る企業も増加することも懸念されています。製造業派遣を禁止するような措置を行えば、日本の製造業は沈没しかねない」

8年後の2020年、コロナパンデミックが起きた。企業にとっての雇用の調整弁として、非正規労働者が先に切られていった。自民党が法改正を骨抜きにしたことにより、リーマンショックの時と同じことが繰り返されたのだ。

2020年の自民党への献金額トップ3は、1位がトヨタの6440万円、2位が日立製作所の5000万円、3位がキヤノンの4000万円だった。いずれも経団連の会長を輩出している。トヨタは奥田碩氏が2002年〜2006年、キヤノンの御手洗冨士夫氏が2006年〜2010年、日立製作所の中西宏明氏が2018年〜2021年に務めた。

非正規労働者が失業し生計の目処が立たない中、大企業はいつものように自民党への献金をしていたわけだ。兆円規模の売り上げがある大企業にとって、金額は微々たるものだし、自民党はホイホイと言うことを聞く。安い買い物だ。

大企業は非正規を切っても、自民党を切ることはない。

【2020年の国民政治協会(自民党への献金受け皿)への支払額トップ50社】

企業名献金額
トヨタ自動車6440万円
日立製作所5000万円
キヤノン4000万円
野村ホールディングス3500万円
三菱重工業3300万円
大和証券グループ本社3200万円
住友化学3100万円
東レ3000万円
日産自動車3000万円
パナソニック2850万円
伊藤忠商事2800万円
住友商事2800万円
三井物産2800万円
三菱商事2800万円
本田技研工業2500万円
日野自動車2210万円
三菱自動車工業2100万円
ゼンショーホールディングス2000万円
日本製鉄2000万円
東日本旅客鉄道2000万円
丸紅2000万円
みずほフィナンシャルグループ2000万円
三井住友銀行2000万円
三井不動産2000万円
三菱電機2000万円
三菱UFJ銀行2000万円
東海旅客鉄道2000万円
ダイハツ工業1970万円
東京海上日動火災保険1814万円
大林組1800万円
鹿島建設1800万円
清水建設1800万円
大成建設1800万円
竹中工務店1800万円
SUBARU1700万円
日本生命保険1700万円
旭化成1500万円
ソニー1500万円
日本電気1500万円
富士フイルムホールディングス1500万円
前田建設工業1500万円
富士通1500万円
損害保険ジャパン1330万円
いすゞ自動車1300万円
第一生命保険1250万円
三井住友海上火災保険1220万円
NTTドコモ1200万円
デンソー1200万円
スズキ1140万円
双日1100万円

注:各社の支払額には、グループ企業や子会社の献金額は含みません

2020年6月2日、友永翔大撮影

FacebookTwitterEmailHatenaLineBluesky
自民支えた企業の半世紀一覧へ