インターンの三井凜が初めてコラムを書いた。Tansaの若手たちによるコラムのコーナー「飛び込め!ファーストペンギンズ」の一環で、三井は「埋もれている声を探す」というタイトルで綴った。
彼女は美術大学に通う学生で、絵は描いてきたが、書くことには慣れていない。心のうちを表現する言葉は何か。自身を客観的に見つめ、その言葉を探し当てるプロセスを繰り返した。何度も書き直した。
行きたくても学校に行けない友人のことを、他の同級生は「学校をサボれてずるい」と言う。それを聞いて怒りが湧いた時のことを、コラムでは「自分が言われたわけではないのに、悔しかった」と書いた。
このくだりを読んだ時、Tansaの門を叩いてくれてありがとうと思った。
Tansaのインターンと若手リポーターたちに共通していることがある。
それは、苦境にある少数派に眼差しを向け、身を投じることができるということだ。それぞれ、自分自身が多数派に馴染めなかった経験を持つからかもしれない。いい意味で順応性がない。不器用だ。就活シーズンになると、バリバリと大企業の内定を取ってくる学生の感じとはちょっと違う。
ただし、ジャーナリストとして少数派に身を投じることは結構大変だ。
苦境にある少数派に寄り添うだけでは足らない。その状況に追い込んでいる者と闘わなければならない。相手は大きな権力を持つ組織の場合もあるし、とらえどころのない世間の「空気」であることもある。身を投じた自分の方が、苦境に陥ってしまいかねない。
ビジネスとの相性も悪い。お金儲けを考えるならば、より多くの人が興味を持つことだけを報道対象にすればいい。芸能人のプライベートがやたらとニュースになるのはそのためだ。一方で、窮地にある少数派を対象にすれば、多くの読者を得ることは難しくなる。
それでもやるのか。
「飛び込め!ファーストペンギンズ」のコラム紹介には、次のように書かれている。誰が書いたかは忘れたが、私ではない。若手が書いた。
勇気をもって道を切り開く人を、群れの中で最初に海に飛び込むペンギンになぞらえ、「ファーストペンギン」と呼びます。知名度がなく財政も不安定なTansaに飛び込んだリポーターたちは、いわば新たなモデルでジャーナリストを目指すファーストペンギン。ときどき溺れながらも、懸命に泳ぐ日々を綴ります。
どうぞ、応援してやってください。
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