編集長コラム

拝啓 共同通信社長、水谷亨さま(61)

2023年05月27日13時42分 渡辺周

Tansa編集長の渡辺周です。

シリーズ「保身の代償~長崎高2いじめ自殺と大人たち~」をこれまで7回分リリースしました。大人たちの保身の集積が、いじめの構造を温存している事実を明らかにしていくものです。連載中の第1部は、水谷さんが社長を務める共同通信と、その加盟社である長崎新聞の保身に焦点を当てています。

まずは読者の声をご紹介します。このシリーズの取材費用を賄うためのクラウドファンディングのサイト「Syncable」に寄せられたものを抜粋します。

共同通信は,クレームが一般市民からのものだったら,同じ対応をしただろうか? 「お客様」の地方紙を忖度したとしか思えない対応です。厳しい追及を期待します!

 

これは被害者や遺族を踏みにじる、本当にとんでもない案件だと思います。その上で、日本社会を健全化するためにはメディアの健全化が欠かせません。このシリーズはその意味で幾重にも重要です。応援させて頂きます。

 

応援しています! メディアも含めて大人たちの隠蔽、うそとごまかしを追及してくださるよう期待しています。頑張ってください。

 

さおりさんが手紙だけでなくカステラを添えて送ったのは、きっとそれまでに手紙だけを送ってうまくいかなかったことが何度もあったからだろう。こういう活動ってとても地道に長く続ける必要がある。被害にあった側、資金も体力も無い側がそれをしなければいけないのは本当にキツイ。どうかTANSAの報道がさおりさん達の助けになりますように。

 

調査報道のあり方に賛同しています。教育現場全体をもっと公正で温かいものにしていく努力が問われます。教育界やマスコミ現場、決定権を持つ人の責任が厳しく問われます。ご遺族の勇気と報道現場の努力を応援します。

 

はじめて事件のことを知りました。メディアと行政が、つるんで、真実を隠そうと、しているのは、許せない。

 

テレビ・全国紙など”主要マスコミ”は、元大手芸能事務所創業者による想像を絶する件数におよぶ未成年への性犯罪を黙殺し続け、先日の広島サミットでは政府広報状態。もはや報道機関と呼べるのか疑問ですが、地方新聞も例外ではないのでしょうね。これからも御社の報道活動を応援させて頂きます。

私たちTansaは5月17日、水谷さんに質問状を送りました。取材で掴んだ事実を列挙した上で、水谷さんの見解を6項目にわたり問うています。質問状はメールで送った後、中川七海が総務局に電話をして到達確認をしています。知らないわけはないですよね。

ところが一向に音沙汰がありません。中川が回答を催促するために総務局に電話しても、担当者は会議中だと言い、水谷さんの回答を届けるはずの担当者は電話口にも出てきません。

回答するのですか、しないのですか ? 回答するかしないかですら、回答できないのですか ? 総務局長の江頭建彦さんのメールに質問状を再送しておきましたので、しっかりと目を通した上でご回答ください。

水谷さんは北海道の釧路支局で記者としてのスタートを切り、今回の事件の舞台である長崎の支局でも勤務されました。東京では警視庁の担当として事件取材に没頭されたのですね。オウム真理教のテロや、44人が亡くなった2001年の新宿歌舞伎町のビル火災など数多くの修羅場を目の当たりにされてきたと思います。同様の悲劇を防ぎ、更なる犠牲者を生まないためにはどうしたらいいか、ジャーナリストとして何ができるのかを、その都度考えてこられたのではないでしょうか。

私は、大きな力を前に途方に暮れる人たちの側に立って闘うのがジャーナリストだと思っています。水谷さんは違う考えをお持ちですか。それとも考えは同じだが、共同通信の経営を支える加盟社の方が大切だということなのでしょうか。もしそうなら、報道機関の看板をおろして、違う業種に転換したらいかがでしょうか。

自死した福浦勇斗(はやと)さんの母のさおりさんが、共同通信に手紙を書いています。勇斗さんの事件に関する報道で、長崎新聞の姿勢を著書で批判した石川陽一さんが社内で窮地に立っているのを心配してのことです。父の大助さんと連名です。

この問題をずっと長く考えてくださるのは、御社の石川記者だけでした。

 

私たちは息子を救えなかった親として、息子のように苦しむ子どもをつくってはならないとの思いで学校にも県にも再発防止の声をあげ続けてきました。

 

その思いを、誠実に正しくそしてどんなときも報道してくださっているのは共同通信社さんです。私たちのような小さな声にも真摯に対応してくださる報道機関があることを本当に嬉しく思います。

 

手紙は千葉支局長の正村一朗さんが受け取っています。水谷さんがまだ全文をまだ読んでいなければ、正村さんからもらってください。せめて遺族には、返事をしてあげてほしいと思います。

2023年5月27日 Tansa編集長 渡辺周

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